サッカーワールドカップ(W杯)ブラジル大会のグループリーグが終了した。
1チーム3試合ずつ行われたこのグループリーグの最終戦で韓国はベルギーに敗れてしまい、1分け2敗でH組最下位となり予選突破は叶わなかった。
残念ながらC組の日本も1分け2敗で既に予選敗退済み。
今大会、日本、韓国、イランなどのアジア勢は1勝も挙げることができず欧米との実力の差を痛感させられた訳だが、日韓両国の代表チームの酷似した成績にも注目が集まっている。
韓国は3試合で6失点3得点。寝不足でもう記憶喪失になりそうな日本の3試合は、6失点2得点であった。
負け方も非常に似ていて、両チームとも相手からディフェンスの裏をつかれるロングパスを許してしまう場面が多く、不安定な守備力を見せた。
攻撃の面でも長年言われてきた「決定力不足」が案の定再発し、ボールを支配する局面でも効率的なシュートがなかなか打てなかった。
とくに個人技が必要とされるペナルティーエリア内で攻撃では、両チームとも力を発揮できなかった。
前回の南アフリカ大会では、日本と韓国が約束でもしたかのように予選リーグを突破してくれたが、今回は正反対の結果に終わってしまった。
2002年の日韓共同開催以来、W杯での予選突破も敗退も日韓両国はセットになっている。さすが「宿命のライバル」だけあって世界舞台でも足並みを揃えているようだ。
一方、「近くで遠い国」とも言われている日本と韓国だが、欧米諸国からすれば同じように見えるところもたくさんある。
顔はもちろん、東アジア共通の文化を共有してきた歴史的背景から、漢字を自国語のベースにしていることや、言葉の語順や文法までもほとんど変わらない。箸や相撲も、醤油や味噌も、同じだ。
当然、その他の文化や経済社会の面でも数えられないほどの共通点が存在するが、スポーツ界でも時折同じのような成績を残すのだ。
近年だと、野球では2008年北京オリンピックの準決勝、2009年WBCの決勝戦。
サッカーでは、2012年ロンドン・オリンピックでの銅メダル獲得戦などが記憶に新しい。
お互いのスポーツ交流も活発で、Jリークでは一部と二部を合わせれば50人以上の韓国人選手が活躍している。
また、サッカー韓国代表チームのコーチ陣には日本人指導者の池田誠剛氏が含まれているほどだ。
そして、サッカーに並ぶ人気スポーツである野球でも日本球界からの在日韓国人や日本人指導者たちが韓国で活躍している。
今年はプロリーグチーム「斗山(トゥサン)BEARS」で初めての日本人監督が誕生した。
外交問題でギクシャクしている現在の日本と韓国を単なる東アジア人の視点から見れば、「近くで遠い国」かもしれないが、2000年を優に超える両国交流の歴史をひっくるめて考えれば、まさに血の繋がった「兄弟関係」または「双子関係」なのだ。
そのDNAは日韓両国のサッカー代表チームにも脈々と受け継がれていて、今回のW杯でも韓国チームの試合を観ていると、まるで日本の試合を観ているような錯覚に陥った場面もあった。
宇宙旅行が実現しつつあるこの時代、月から見れば日本も韓国も片目にすっぽり収まってしまうサイズだろう。領土、歴史認識などの政治問題で兄弟喧嘩を一生懸命繰り返したところで、地球から一歩離れた場所で眺めれば「鼻くそのぶつけあい」にしか見えないのだ。
地球の裏側で「W杯ブラジル大会」は「欧米」のお祭りとして佳境になるこの時点、日韓両国がともに歩んできたデジャブな歴史と文化が重なりあう今日このごろである。