「コラム」韓国のそこに行きたい(済州島 前編)

長い風雪に耐えてきたトルハルバン

 

トルハルバンと三多島

ユニークな石像のトルハルバン。「トル」は石で、「ハルバン」はハラボジ(おじいさん)の方言。つまり、「石のおじいさん」という意味だ。目と鼻と口が異様に大きく、腹に手を当てている。なんとも、ほのぼのとした姿をしていて、今でいえば典型的な「ゆるキャラ」である。

しかし、その歴史は古い。かつてトルハルバンは、島内の城門の前に設けられていた。役目は、城門内に住む住民たちを守護すること。疾病の伝染を防ぎ、邪悪な悪霊や外敵を追い払う呪術的魔力がトルハルバンにあるとされていた。そういえば、トルハルバンの表情は怒っているようにも見える。城門外に住む人間が城の中に気軽に入ってこないように睨みをきかせる役目も持っていたのだろう。

今は、役目がまるで違う。あくまでもフレンドリーに観光客を迎えてくれる。

また、済州島は古くから「三多島」と呼ばれた。その「三多」を具体的に言うと、風と石と女である。

風は確かに強い。南海上にぽっかり浮かんだ孤島ゆえに、強風にさらされるのだ。

石が多いのも、漢拏山の噴火がすさまじかったから。今でも島は溶岩で埋めつくされている。

以上のように「三多」の中の風と石はよくわかるが、残りの「女」はなぜなのか。

はっきりとした根拠があるわけではない。済州島の女性は働き者で生活力があるとよく言われてきた。要するに、女性が目立っているのだ。それで、人数が多いように見えたのに違いない。(ページ3に続く)

2017.10.09