李明博(イ・ミョンバク)政権時代に国家情報院が文化人・芸能人のブラックリストを作成していた問題で、検察が本格的な調査を開始した。果たして、ブラックリストに載った人たちの被害状況がどこまで解明されるだろうか。
回復できない傷
9月18日、ベテラン俳優のムン・ソングンはソウル中央地方検察庁に出向き、7時間以上にわたる調査を受けた。
彼は李明博政権時代に野党勢力として政治活動も行なっていたが、政府に批判的な芸能人としてブラックリストに名前が載り、俳優としての出演を制限される圧力を受けていたとされている。
そのムン・ソングンが、自分のことより強調していたのが女優のキム・ギュリのことだった。
「とてもかわいそうだったのがキム・ギュリだ」
ムン・ソングンはそう言明した。
「俳優というのは20代から30代にかけて演技力を磨いていくのに、キム・ギュリの場合は活動を制限されて回復できない傷を負った」
この言葉がキム・ギュリの不遇を端的に物語っていた。(ページ2に続く)