利益を求めて集まってきた者たち
確かに、国が侵略を受けたときに命をかけて戦った人たちを称えるのは国家の義務だ。しかし、政権奪取に寄与したとして多くの者を功臣にすると、そこで問題が生じるのは自明の理だ。
何よりも、法よりも上の存在になった功臣たちは、図に乗って社会の安定に害を及ぼすことがよくあった。
それでも世祖が功臣たちを捨てられなかったのは、彼ら以外に頼れる者がいなかったからであろう。正統性の欠けた世祖は既存の勢力からの支持を得られなかったのだ。当然、自分のために集まった人を頼るしかなかった。
しかし、世祖のために集まった者というのは名分、価値観、哲学に従ってきた者たちではない。彼らが動いた理由は、そこに利益があるからだ。それゆえ、彼らを引き止めておくには、それ相応の利益を与え続けなければならなかった。
そうして功臣たちに次々と与えた特権が、数々の蛮行を招いた。そして、彼ら功臣たちの特権は後代まで世襲され、王権まで脅かすことになってしまった。(ページ3に続く)