MC:日本では、北朝鮮というとミサイルの問題などネガティブな情報も多いため、ある意味イメージも画一化しているところもあります。韓国ではどうですか?
監督:韓国社会で脱北者に対しては、厳しい視線というか偏見がありますね。一方、政治的に利用されてしまうこともある。韓国のメディアはその時にどういう政権が握っているかによって変わっていきますね。文在寅(ムン・ジェイン)政権になってどうなるかわかりませんが、僕は政治家ではないけれど、前よりは良くなるんではないかという淡い期待を持っています。
ただ世界を変えるには、一日二日寝れば変わるわけではないですし、大きく変えるには、小さいことから変えていくしかないと思っています。ただ小さいことも変えるのには意外と時間はかかるのですが、それでもやっていくことが重要ではないでしょうか。
僕の場合は映画という文化を通して、観客の皆さんに提案をして、話をしていくことを続けていく。例えば僕の小さい頃は日本文化が禁止されていましたが、日本のアニメなど少しずつ接することによって、木の皮がむけるように日本を知っていくことができました。僕も文化を通して少しずつ相手のことを知り、核心に迫っていくことが提案できればと思っています。
このほか、観客からの質疑応答では、マダム・ベーの北朝鮮での生活の様子を聞かれ、「マダム・ベーの北朝鮮での生活は田舎ではあったが、アパート暮らしで、独身時代は鉄工場で働いていたと聞いた。でも売られた中国の農村のほうがはるかに田舎で、お手洗いが外だったりする状況にマダム・ベー自身も“北朝鮮より貧しい生活があるんだ”と思ったそうです」という驚きの答えも。
最後にユン・ジェホ監督より「本作は小さな作品ではありますが、僕が人間として尊敬する、大切に思う女性の物語です。どうか一人でも多くの方に観て頂けるようにご協力よろしくお願い致します」とのメッセージがあり、本作同様、貴重な話が続くトークイベントとなりました。
公開中トークイベント実施決定!
渋谷・イメージフォーラムにて、本作公開中の6月17日(土)、18日(日)それぞれ10:50~の回上映後に、ゲストを招いて、本作をより知るためのトークイベント実施いたします!
★6月17日(土) ゲスト(予定):ヤン・ヨンヒさん(映画監督)
★6月18日(日) ゲスト(予定):礒崎敦仁さん(慶應義塾大学准教授/北朝鮮研究者)
詳細は、公式サイトをご確認ください。 www.mrsb-movie.com
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