第37回 大ヒットした『雲が描いた月明かり』の主人公
韓国で2016年に放送されて特に好評を博した時代劇が『雲が描いた月明かり』であった。このドラマの主人公になっていたのが孝明(ヒョミョン)世子だ。あまりに早く亡くなったために、歴史上でもそれほど知られていなかったのだが、『雲が描いた月明かり』によって大いにクローズアップされるようになった。果たして、どんな人物だったのだろうか。
悲劇の熙政堂
朝鮮王朝の正宮だった景福宮(キョンボックン)が、1592年の朝鮮出兵の際に焼失してから1865年まで再建されなかったことから、その間は昌徳宮(チャンドックン)が正宮の役割を果たすことが多かった。
この昌徳宮に熙政堂(ヒジョンダン)という王の寝殿がある。ここが一番の悲しみに包まれたのは1830年のことだった。
やがて国王になって手腕を発揮するはずの若き世子(セジャ/王の正式な後継者)がわずか21歳にして熙政堂で世を去ったのである。それが孝明世子だった。
その死は、朝鮮王朝にとっても痛恨の悲劇であった。
果たして、孝明世子とは、どんな人物だったのだろうか。(ページ2に続く)