韓国で意外な日本の有名人がいます。音楽にはあまり詳しくはありませんが、J-POPだとSMAPや嵐が有名で、文学では村上春樹がよく読まれています。
一昔前ですと、川端康成の『雪国』、五味川純平の『人間の条件』、山崎豊子の『不毛地帯』、山岡荘八の『徳川家康』等が読まれていました。このほかにHOW TOものなどは日本でヒットしたら間髪をいれずに翻訳され、専門知識を日本の本を通じて吸収したものです。
正式には、日本の書籍(専門書を除いて)は輸入されていませんでしたが、明洞(ミョンドン)あたりでは月遅れの『文芸春秋』や『nonno』『anan』が店頭に並んでおり、これらの雑誌を通して新しいファッションや情報を取り入れていたようです。歌謡曲では、いしだあゆみの「ブルー・ライト・ヨコハマ」や美空ひばりの歌が流行りましたし、中には日本の歌だと知らずに口ずさんでいた曲もあります。
映画やテレビドラマでも日本の影響は大きかったと思います。韓国でヒットした「メンバレ チョンチュン」(はだしの青春)は、吉永小百合、浜田光男が主演の「泥だらけの純情」を借用したと聞いています。当時のテレビ番組も日本の影響を受けています。今も続いている歌番組「全国ノレチャラン」(歌自慢)などはNHKののど自慢番組を参考にしたと伝えられています。テレビ番組の再編時期には日本のテレビが映る釜山に行って、番組を見ながら、いろいろアイデアを練ったそうです。
このように、六、七十年代には大衆芸能分野で潜在的ですが、日本の影響が大でしたので、日本のエログロものを割り引いたとしても、正式に日本文化が韓国に入ってくることに脅威がありました。
また、日本の統治時代に韓国の固有文化が低俗(?)な日本文化に侵食されたと思っている人がたくさんいました。ですから、二〇〇二年に金大中大統領の日本文化開放(制限的ではありましたが)は大きな決断でした。
結果、以後の韓流ブームを見ても日本文化脅威論は取り越し苦労でした。
日本に比べ、自分たちの大衆芸能が遅れていると信じていた韓国人にとって日本のファンたちが、ヨン様をはじめとした韓流スターを日本の空港で熱烈に歓迎しているのを見て腰を抜かしたのではないでしょうか。
それほど信じがたい光景でした、はじめは……。
文=権 鎔大(ゴン ヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている? 』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)
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