宮廷料理は究極のヘルシー
日本では江戸時代までに一部を除いて肉食の習慣がなかったが、韓国では昔から肉をよく食べていた。その肉を保存するのに欠かせなかったのがニンニクで、韓国料理にはニンニクがふんだんに使われる。かつて肉をあまり食べなかった日本がニンニクとあまり縁がなかったのとは大きな違いがあった。
また、韓国の肉料理の中で多用されるのは豚肉と鶏肉。イメージとしては牛肉ばかり食べているような感じだか、実際はそうではない。
魚料理も多彩だ。日本人ほど多く刺し身を食べる習慣はないが、煮魚は食卓によく上がる。さらに、干し魚を使った料理も多い。
また、韓国は日本より乾燥していて喉が乾くので、スープはかならず食事に添えられる。しかも、肉や魚がダシとして使われていて、コクのある味わいをつくっている。
こうした韓国料理の最高の到達点が宮廷料理だ。広い食卓にこぼれんばかりに並べられた料理は圧巻である。
その宮廷料理がめざすものは「薬食同源」。「食物は薬と同じ」という考え方が料理に生きている。宮廷料理の最大の目的は、国王の健康を維持することなので、野菜、肉、魚をバランスよく食べるための工夫が徹底的にほどこされていた。それだけに、宮廷料理は究極のヘルシー料理でもあった。(ページ4に続く)