『華麗なる遺産』のソンヒ
過去の作品からも悪女を思い出してみる。
さまざまな悪女が頭に浮かぶが、私(康熙奉〔カン・ヒボン〕)が今でも鮮明に思い出すのは、2009年にSBSで放送された『華麗なる遺産』だ。このドラマはハン・ヒョジュが演じたヒロインのウンソンが健気(けなげ)で優しかったが、その継母となっていたソンヒ(キム・ミスクが演じていた)が恐ろしい女性だった。
何が恐ろしかったのか。
ソンヒは再婚した夫が世を去ると、その連れ子であるウンソンと弟におぞましい仕打ちをし続ける。生命保険を横取りし、ウンソンと弟を追い出し、自分の娘を富豪の孫と結婚させるために陰謀をめぐらし、企業の乗っ取りまでたくらんでいた。
次から次へと出てくる悪行の数々。それに耐えるウンソンが聖女のように思えたものだ。そうなのである。韓国ドラマにおける悪女はヒロインを聖女に仕立てるための最重要なキャラクターなのだ。
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