先日、歌手BoAとKANGTAが韓国の大手エンタメ企業「SMエンタテインメント」の取締役に選任されたと報じられた。
SM社は、「東方神起」、「少女時代」、「SUPER JUNIOR」、「SHINee」、「f(x)」、「EXO」などのトップアイドルグループの所属事務所として有名な上場企業。アーティストだけではない。系列会社の「SM C&C」には、ドラマ「イヴのすべて」と映画「ブラザーフッド」のチャン・ドンゴン、ドラマ「紳士の品格」と映画「7級公務員」のキム・ハヌル、ドラマ「ラブレイン」と現在開催中の「2014新大久保ドラマ&映画祭」広報大使のキム・シフなどが所属している。
BoAとKANGTAは、役員報酬以外に、それぞれ8000株分のストック・オプションも与えられた。BoAはJ-POP市場でも「アルバム5作連続オリコン1位(ウイークリー)」などの輝かしい実績で日本でもおなじみの歌姫。そして、KANGTAは1996年にデビューし、当時韓国では国民的アイドルとして一世を風靡した男性5人組グループ「H.O.T」出身のシンガーソングライターであり、プロデューサーだ。
今回の選任で二人は「クリエイティブ・ディレクター」として、新規事業や企画・プロジェクトなどにも積極的に参加していくこととなる。これまでのグローバルな芸能活動で培ってきたノウハウとアーティストならではの見地を活かして「SMエンタテインメント」の経営に間接的に関わっていくものとみられている。
ただ、「非登記」であるため、韓国の商法上、取締役会には出席できないという制限付き。議決権を持たない分、経営上の法的責任も問われないポジションだ。
なお、BoAに与えられた8000株のストック・オプションだが、行使できる期間が3年後の2017年3月21日から2018年3月20日までだ。同社の現在の株価を基準に換算すれは約4000万円程度。3年後の株価が3倍に上昇した場合、BoAはストック・オプション行使し、8000万円の利益が得られる。実際、過去3年間、SM社の株価は3倍ほど上昇してきた。もちろん、3年後のSM社の株価が今より下落するならば、ストック・オプションをあきらめ、役員報酬だけになる。
この「ストック・オプション」効果もあり、SM社と2人とのパートナーシップはますます深まっていきそうだ。従来は、芸能プロダクション(芸能事務所)と言えば、零細企業のイメージが強く、人気芸能人1人や2人に依存してしまう不安定な会社が多かった。
そのため、自社の所属芸能人の人気が低迷したり契約期間が終了したりしてしまえば、ただ切り捨てる方法しかなかった。しかし、近年の大手芸能プロダクションの「総合エンタテインメント企業化」に伴い、今回のような、かつて自社の成長に貢献した芸能人たちを抱え込むケースも出てきた。
韓国ネット上では、「BoAとKANGTAが上場企業のお偉いさんになっちゃった〜」、「これからも安心して活動できるね」、「これで芸能界から干されても食っていけるね!」、「取締役よりは新曲が欲しい」、などの意見がある。
芸能界同様、選手たちの現役生活の寿命が短い野球やサッカーなどのプロスポーツの業界。現役引退後の選手をチームの監督、コーチ、特別アドバイザーなどの管理職に任命したりもする。それまでの労をねぎらうことを考えれば、そして、そのノウハウの活用を考えれば、当然な判断でもある。
ならば、SMもBoAとKANGTAだけではないだろう。次はだれなのか?序列的にも、実績的にも「東方神起」が次の候補である。KANGTAは1996年「H.O.T」としてデビュー、2001年にはソロデビューした。BoAは2000年デビューだ。
「東方神起」のデビューは、BoAとブリトニー・スピアーズのスペシャル舞台への出演を基準にすると2003年12月26日。「HUG」の発売日を基準にすると2004年1月14日になる。つまり、BoAやKANGTAとは数年ほどの差である。数年後には、ビシッとした服装で日韓の音楽ビジネスマンとして活躍する「東方神起」のユンホやチャンミンの姿が見られるかもしれない。
序列や実績以外の理由もある。あの「東方神起悲劇」の時、つまり、5人組「東方神起」から「JYJ」ジェジュン、ユチョン、ジュンスの3人が脱退した時の話だ。会社設立以来、最大の危機に直面していたSM社に対するユンホとチャンミンの姿勢は、SMの経営陣としてもふさわしかったからだ。