韓国や中国ではお酒を通して相手の人間性を把握して、信頼できるか見極めるのですから、マナーに気を配り相手の懐に入らなければ意味がありません。せっかく無理して飲めないお酒を飲み、場を取り繕ったとしても飲んだだけでは体を壊すだけで意味がありません。たとえ酒が弱くてもマナーを心得、最善を尽くせば評価されます。
飲めない人はどうするか。最初から飲めない旨を告げればすみますが、途中でこれ以上飲めないと断るのはお付き合いをしないと言うことに等しいのです。韓国人や中国人はお酒を通して相手を値踏みし、長く付き合えるかどうかを判断します。二人の間の距離を一気に詰められるのがお酒の最大の効用です。
たとえ酔ったとしてもその必死度に相手は胸襟を開きます。酔っ払ったとしても相手に介抱してもらったり世話を焼かせるのも親近感を示すもので、ビジネスにとって決して悪いことではありません。再度会ったときに自分の酒の弱さを恐縮し、相手の酒の強いことを称えその面子をくすぐれば関係はぐっと近くなります。
中国では自分が飲めないか、飲みたくないときは美人でお酒の強い女性を連れて来ることもあります。いわゆる兵法三十六計にある「美人の計」です。女性が飲めるといってもたかがしれていると高をくくると失敗します。華奢な体つきの美人が愛嬌をふりまきながら酒をすすめるのですから、男の面子もあり飲まない訳にいかず、ついついその集中攻撃にあい沈没してしまいます。その強さは半端でなくさすが宴会に引っ張り出されただけのことがあると感心します。その危機を打開するのが必殺「爆弾酒」です。自分への攻撃をかわし相手が飲み慣れていないお酒で公平に杯が行き渡るようにすれば何とか脱出できます。ただし中国人も韓国人の爆弾酒に慣れ、その威力を知ってきたので過信は禁物です。
文=権鎔大(ゴンヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大発行/駿河台出版社)
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