昔ソウルに帰国して一番行きたくなかったのが区役所であり町役場でした。
不親切で偉そうにしている窓口の役人は恐怖の対象でした。書類一つ取るのに何時間もかかり、列があっても割り込みされ秩序がありませんでした。やっと自分の番になっても、その書類はここでなく違う窓口だと言われ、また最初から並び直さなければならないなど出生申告をするだけで、何時間もかかりました。
何とハードルの高い窓口なのか!
急ぎのときは窓口の事務員に急行料という何かのお金を渡さなければなりませんでした。日本育ちの人間には、渡すタイミングや良心の呵責で気が重いものでした。
兵役義務の一環で町役場の軍関係の事務をしていた一九七四年の年の瀬に、「扶養家族の税金控除」の制度ができ、全国民が税務署に住民票を提出しなければならなくなり、住民台帳のある町役場がとても混雑したため、直接関係のない私も狩り出され事務を手伝いました。当時はまだ住民票が電算化されておらず原本を手書きで写して発行していました。
その間、私は町役場の不親切と権威的な態度にうんざりしていましたから、私だけでも日本で学んだ親切さを発揮して丁寧にサービスすることを心がけましたが結果は意外な方向に…。
文=権鎔大(ゴンヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大発行/駿河台出版社)
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