梅雨入りしたばかりのソウルで東方神起のユンホが参加するコンサートがあり、そこでソロステージをすると聞き、貴重な機会だと思い行ってきた。ユンホは、現在、上等兵チョン・ユンホとして軍服務中である。ソウルの北にある楊州(ヤンジュ)市の第26機械化歩兵師団の軍楽隊に所属して、東方神起として培った経験と才能を生かして活躍している。
ライブ中継の関心も高かった
ユンホが軍楽隊の一員としてステージに立つ時は、主に4人のブルムリ神起(26師団をブルムリ師団、ブルムリ部隊ともいうそうで、そこから命名されたと思われる)の一員として、市民が集うイベントなどを大いに盛り上げている。
5月の初めには、特級戦士に選抜され、日本の「Yahoo!ニュース」のトップにもなり話題をさらった。
今回行ってきたのは、6月22日にソウル市ヨイドのKBSホールで開かれた陸軍本部主催の「大韓民国 愛 コンサート2016」だ。
このコンサートは、軍を通して申し込まれた招待券の他に先着順で一般にもチケットが配られることになっていた。
人気のチケットになるわけだが、東方神起のファンのカシオペアの有志が前日早朝から名簿を作り、不公平のないように工夫して列を作ってその時を待っていた。
チケットを求める列は、韓国人だけでなく日本人や中国人も多く、東南アジア系の方ももちろん、とにかく国際的だった。
開場時間にはその列はホールの入り口から建物に沿って伸び、「何百人いたのか?」と最後尾が見えないほどだった。
大韓民国陸軍のフェイスブックでは開会の時間に合わせてライブ中継までされるという関心の高さだった。
想定外の貴重なステージ
開会の予定時間を10分ほど過ぎてそのコンサートは始まった。
ステージ後方に「私は大韓民国国家代表陸軍だ!」という文字と銃を持った一人の兵士が浮かび上がり、世界の軍を保有する国の国旗だろうか、21か国の国旗とともに韓国の太極旗も入場して華麗に幕はあがった。
戦争で廃墟となったところから徐々に復興して日常を取り戻し、さらに豊かに発展してきた韓国の歩みや、さらに様々な危険な訓練に明け暮れる将兵の様子、そんな中にもホッとする一瞬に笑顔を見せる彼らの場面などがオーケストラの演奏とともに映し出されたりもした。
韓国の若者は祖国を守るために青春の大事な2年間を国に捧げているのだと思うと胸が熱くなるコンサートでもあった。
今日はダンスを取り入れたという陸軍の新しい軍歌『僕が守る祖国』の初披露という、大きな目玉があった。
これは、将兵はもちろん国民みんなが口ずさむことができる軍歌を目指して歌詞は公募で募って作られたそうだ。
ユンホとスーパージュニアのシンドン、ソンミン、ウニョクのSMエンターテイメントに所属する4人のメンバーがメインのチームで初めてのお披露目となり、この日参加したファンは思いがけず貴重なステージを見られることになった。6月23日からユーチュープでMVが公開されているので興味のある方はぜひ。
ユンホの人気が凄まじい
デジタルパターンの韓国陸軍の迷彩服のメンバーが出てくると、会場が色めき立った。ユンホの左胸には特級戦士の証がついていた。曲調はまるでK-POPで、音楽番組の中で歌われてもおかしくないような、これまで私が抱いていた軍歌のイメージと全く違うものに仕上がっていた。
4人それぞれの見せ場で歓声があがったが、ユンホが前に出て歌いだすと打ち上げ花火のように「わぁー!」という声が瞬間に沸き上がったまま止まらなかった。
ユンホの人気のすごさが分かった。
「誇らしい大極旗と自分の名前を抱いて、誰よりもっと強い姿で僕たちの祖国、僕たちの民族、僕が守るんだ、守れるんだ」
という歌詞が印象に残る。
耳に馴染みやすいノリの良いメロディラインと息の合った迫力のある群舞。軍の命を受けてパフォーマンスする中にユンホらしさを取り入れる余地があったのかないのか分からないが、それでもトップにあがってくるところや、観客をあおるようなところ、様々にユンホならではというスパイスがちりばめられていたと思う。
長身のユンホがワントップのV字のフォーメーションで、眼光鋭く素早く敬礼する振り付けで終わった。
姿が見えなくなっても客席のざわざわが止まらない。興奮した空気がしばらくおさまらなかった。
陸軍初の試みは成功したようだった。
(後編に続く)
文・写真=M.Takahata
写真=B.Park
コラム提供:ロコレ
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