最近、韓国で大ヒット中のアメリカ映画がある。アンデルセンの童話「雪の女王」を原作にし、ミュージカル・ファンタジー的な要素を取り入れた3Dアニメ映画だ。韓国版の主題歌は、「SISTAR」ヒョリンが歌う。
3Dアニメーション映画「アナと雪の女王」の話だ。ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオズの製作で、原題は「Frozen」、韓国題は「冬の王国」だ。「SISTAR」ヒョリンは主題歌「Let It Go」の韓国版と同時に、ドラマ「星から来たあなた」の挿入歌「アンニョン」をヒットさせていて、同じ「SISTAR」ソユがデュエット曲「Some」をヒットさせている。現在、韓国では音楽ダウンロード販売の上位を「SISTAR」が独占している形となった。
映画の話に戻ろう。韓国で観客動員数は、2月16日の時点で895万人を達成し、歴代洋画ランキング2位の「アイアンマン3 」がもつ900万人の記録に並ぼうとしている。先月の16日に公開されてから、1か月あまりでの成績だ。
この勢いを今後もしばらく保つことができれば、歴代1位の「アバター」(2009年)を追い抜く可能性もある。
一方、「アナと雪の女王」の日本での公開は3月14日を予定している。韓国より2か月ほど遅い公開となり、アメリカ本国では昨年の11月27日のクリスマスシーズン物として上映が始まっていた。
日本の一部のディズニー映画ファンからは、「冬がテーマの映画を冬が終わってから上映するなんてバカバカしい! 」など、遅い公開予定に対するクレームもあったという。
しかし、ハリウッド映画の封切りが遅くなるのは今に始まったことではない。最新映画として公開されるハリウッド映画の多くが、ドン引きするくらい遅れて日本で公開されているのだ。ひと昔前までは、1年ほど遅れての公開が大半だったが、最近は半年前後まで「タイムラグ」が縮まっている。
ただ、日本上陸前からある程度興行が保証されているディズニー映画や一流俳優の出演作は、本国上映後3〜4か月で公開されている。まさに今回の「アナと雪の女王」もこのケースに当てはまる。
2012年にヒットしたハリウッド映画「アベンジャーズ」も、アメリカ公開が4月11日で、日本公開は8月14日と、その間隔は4か月程度。
では、なぜ日本では韓国など他のアジアの国よりも上映開始が遅いのか。
1本のハリウッド映画には世界各地の利害関係が複雑に絡み合っているので一概には言えないが、大きく分けて以下の3つがその理由とされている。
● 「全米No.1」、「世界●●か国が買付け」、「世界が泣いた」などの肩書きが使える。
宣伝期間が十分でないまま全世界と同じタイミングで公開するより、世界でヒットした実績を市場に浸透させた上で公開したほうがリスクオフを好む日本市場に適している。
● 日本の配給会社は、アメリカ本国での人気の度合いを計ってから配給契約金を決めたり、国内の系列映画館にリサーチを行ってから配給契約を取り付けたりする場合が多い。
● アジア諸国では海賊版がすぐに出回るので早く公開しないと集客が見込めないが、日本では海賊版の被害が少ないのでゆっくりの公開でも安心。
確かに、分からなくもない理由である。しかし、これでも日本の公開スケジュールに納得いかない方、3月まで待ちきれない方は、アメリカ旅行のついでに映画館を訪れるべきだ。
英語版なら、韓国語字幕付きでお隣の韓国でも楽しめる。もちろん韓国語吹替も上映中なので、K-POP好きで韓国語に慣れている方は、ヒョリン(SISTAR)の主題歌がお勧め。ソウルの旅行のついでに、一足先に話題の映画を韓国で楽しんでみてはいかがだろうか。いつもの韓国旅行とは少し違った楽しみ方ができるかもしれない。