「基」のハングル読みは「キ」であり、日本語と同じ読み方をします。このように、「ひらがな1つで発音する漢字は、ハングルの読みもほとんど日本語と同じ」ということを利用したのが「ひらがな1つの法則」です。今回は、「ひらがな1つの法則」の代表例をみてみましょう。
「ひらがな1つの法則」の代表例
第9回では、「ひらがな1つの法則」の法則を具体的に見てきましたが、この法則が適用される文字はまだ他にもあります。それを一挙に説明しましよう。
(あ) 阿 亜 → 아(ア)
(う) 宇 雨 → 우(ウ)
(く) 句 区 → 구 (ク)
(み) 未 味 → 미(ミ)
(や) 夜 野 → 야(ヤ)
(む) 無 霧 → 무(ム)
このように、日本語でもハングルでも同じように読む漢字はとても多いのです。
具体的に単語で示してみましょう。
日本語読み ハングル読み
아연(亜鉛) → あ・えん ア・ヨン
우수(雨水) → う・すい ウ・ス
우주(宇宙) → う・ちゅう ウ・ジュ
시구(詩句) → し・く シ・グ
구분(区分) → く・ぶん ク・ブン
구간(区間) → く・かん ク・ガン
미간(未刊) → み・かん ミ・ガン
야간(夜間) → や・かん ヤ・ガン
무리(無理) → む・り ム・リ
무산(霧散) → む・さん ム・サン
どれも、日本語とハングルで発音が同じか、とても似ています。こうした事例を覚えていくと、ハングルのボキャブラリーがどんどん増えていって、使える用途も広がります。
「似ている『ん』の法則」
ひらがな2つの最後が「ん」となる漢字には法則があります。「ひらがな1つの法則」に続いて、日本語とハングルの読み方が似ている文字をさらに見ていきましょう。
幹 単 満 安 印
これは、日本語では「かん、たん、まん、あん、いん」となります。
実は、ハングルでもまったく同じ読み方で、「カン、タン、マン、アン、イン」になります。
これを「似ている『ん』の法則」と称しましょう。日本語の漢字の読み方でひらがな2つの最後が「ん」で終わる言葉は、ハングルでも読み方がとても似ているという法則なのです。
具体的にハングルで説明しましょう。
日本語読み ハングル読み
간(幹) → かん カン
단(単) → たん タン
만(満) → まん マン
안(安) → あん アン
인(印) → いん イン
何度か説明しましたが、漢字の音読みは朝鮮半島を経由して伝わってきた可能性が高いのですが、語尾が「ん」で終わる読み方は、伝わってくる過程で発音も変化しづらかったと思われます。それによって、ハングルと日本語の読み方が似てきたのです。
次のページから、「似ている『ん』の法則」の具体例を1つずつ取り上げていきます。
「社会」「経済」は日韓共通の漢字語
明治維新後の文明開化の時期に、日本では欧米の単語を漢字に翻訳する作業を進めましたが、困ったのが近代的な概念を持った単語の扱いでした。江戸時代までの漢字の使い方では対応できないものが多かったのです。
それゆえに、新しく漢字の単語を創作する必要がありました。その末に誕生したのが「社会」「経済」「会社」といった、今では当たり前になっている単語の数々でした。つまり、近代的な概念を持った単語の多くは明治以後の日本で作られたのです。
こうした日本のオリジナルな単語は朝鮮半島に伝わり、同じような使われ方をしています。それは以下の通りです。
漢字 社会 経済 会社
ハングル 사회 경제 회사
ハングル読み サフェ キョンジェ フェサ
はるかな昔、漢字は中国大陸で発祥して朝鮮半島を経由して日本に伝わってきました。しかし、近代以降には、日本が作った漢字の単語が数多く朝鮮半島にも伝わっています。この点でも、日本語とハングルの共通性は高まっているのです。
編集=ロコレ編集部
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