「コラム」〔第7回〕 韓国女性の生き方/息子と娘の違いについて

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第4回 息子と娘の違いについて

 

息子に甘すぎる韓国

韓国の民法上で財産相続の割合は息子と娘で同等である。正確にいうと、配偶者1・5:息子1:娘1であるが、我が家の割合は息子1:娘0だ。いや、息子100:娘0といっても両親は否定しないだろう。

私は4人兄弟で上に姉がいて下には弟2人がいます。兄弟が多い分、幼いころは食べ物やテレビ番組のチャンネル争いで飽きるほどよく喧嘩をしていました。

そんな中、両親からは男女差別の扱いをされた覚えがあまりありませんでした。成績表による比較はよくされたものの、「娘だから息子のために犠牲になりなさい」と言われたことはありません。ところが、社会に出て稼ぐようになると両親の本音が徐々に出てきました。

姉と私はソウルで仕事をしていて、たまに実家に帰ると両親から「給料をもらったら少し弟にお小遣いをあげなさい」「自分で稼いで結婚できるように貯金しなさい。教育までは親として責任を取るべきだけど、結婚には援助しないから。わかった?」と何度も釘をさされました。

ごもっともです。両親には大学まで面倒みてくれたことにとても感謝していますし、大学生の弟には姉としてお小遣いをあげるものだと思っていました。それに文句を言う気はまったくございません。

しかし、弟が稼ぐようになってから、両親の言い方はころりと変わりました。

 

なんとなく暗黙の了解

実家暮らしをしながら勤めている長男が生活費を出しているかを聞いたら、「雀の涙ほどの給料だからもらわなくていい」と母は言いました。

「だれだって最初は雀の涙くらいしかもらっていません。私だって雀の涙でひとり暮らしをしているし、たまには弟にお小遣いもあげたんです。息子に甘すぎますよ」

そう言いたかったです。

次男が社会に出た時は、就職祝いに両親は新車をプレゼントしました。長男の時も父が乗っていた愛車を出勤用にさらりと譲っていました。

娘には自立心を、息子には物質的な援助を?

改めてショックを受けるばかりでした。

結婚する時も娘と息子では明らかに違いました。

姉と私には嫁入り道具に使いなさいと100万ウォンをくれたのですが(1ウォンたりとも援助しないと言われた割りにはありがたい金額ですが)、次男には2億ウォンを超えるマンションをプレゼントしていました。

長男には実家の二世代用の一戸建てを譲るそうです。ある程度は予測していましたが、いざとなると悔しかったです。

いまだに財産分配については両親に具体的な話を聞いていないのですが、おそらく息子100:娘0になるでしょう。わざわざ娘に報告する必要はないと両親は思っているかもしれません。帰るたびに漂う雰囲気から、なんとなく暗黙の了解と感じ取るしかありません。

 

財産分配は男女平等?

知ったところで、正直な話、裁判に訴える気はまったくありません。確か法律上では娘にも権利があるらしいのですが、いくら娘だからとはいえ、権利だけを求めるわけにもいきません。

近くに住んで両親の面倒を見ているわけではないし、いつも人手が足りなくて困っている両親を手伝うこともできません。

遠くから両親の選択を見守るしかないと思います。ただ、弟には両親の汗を無駄にしないことだけを祈ります。

なぜ韓国社会は(我が家だけかもしれませんが)、息子だけに財産を譲っているのでしょうか。

韓国では親の財産を譲り受けることによって、親の老後の面倒や先祖の祭祀(チェサ)、秋夕(チュソク/旧盆)、旧正月の行事などのすべてを引き継ぐことになります。

祭祀とは、先祖の忌日に供え物を用意して夜中12時に先祖の霊を祀ることです。この祭祀を先祖の4代目までさかのぼって行ないます。とにかく、韓国の文化は祭祀なしではまったく語れないものなのです。

私の弟は、父親が独り息子なので祖父母と父母の祭祀をすることになります。長男が全部引き受けるか次男と分け合うか、もしくは次男が全部引き受けるかはまだわかりません。とりあえず長男が優先にはなりますが、祭祀の分け方によって残りの財産分配には少し差が出てくると思います。

反面、嫁に行ってしまった娘も主人方の財産を引き継ぐことになるのだから、財産分配に関しては男女平等になっているともいえるのでしょうか。いやいや単なる社会の秩序なのでしょうか。それとも洗脳なのでしょうか。

 

文=スヨン
コラム提供:ロコレ
http://syukakusha.com/

2016.05.23