「コラム」ペ・ヨンジュン 過去への旅路(第9回)

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第9回 映画に初主演する予定だった

『愛の挨拶』でデビューして人気俳優となったペ・ヨンジュンは、その後も『若者のひなた』『パパ』『初恋』に主演。若者の揺れる心を瑞々しい感性で表現して人気を不動にしていた。そして、『愛の群像』では、今までにない難しい役を全身全霊を傾けて演じきった。視聴率はあまりよくなかったが、熱狂的に支持してくれるファンの声援を受け、演技者としても今まで以上の手応えを感じた。

 

体力トレーニングに励む
『愛の群像』の出演を終えたペ・ヨンジュンは、いつものように体力強化に精を出していた。
たとえ、長期間の撮影予定がなくても、ただの休養に当てずにジッとしていないのがペ・ヨンジュンである。
彼は常に「今より一歩進んだ自分」でいたいと思った。トレーニングもその一環なのであった。
1999年8月3日付けの「イルガン・スポーツ」は、「ペ・ヨンジュンは今……」という見出しを掲げてペ・ヨンジュンの近況を伝えていた。
その記事は、詳細なインタビューで構成されていた。ここに、その一問一答を再現してみよう。
……歩き方がちょっとおかしいようですが。
「左足をちょっとケガしてしまったんです。半月ほどになりますが、からだ作りのためにトレーニングをしていて傷めてしまいました。深刻なものではなく、筋肉がちょっと驚いた程度ですよ。以前にケガしたのは右足だったけれど、今はただ『あいにくだなあ』という気持ちですね(ペ・ヨンジュンは19977月、全治3カ月の重傷を右足に負ったことがある)」
……どんな運動をどれだけしているんですか。
「以前はウェイト・トレーニングでもどんどん重い物を持ち上げていて、そのおかげで筋肉がかなり付いたのですが、最近は軽い物をたくさん持ち上げています。とにかく、しっかりした体型を作っているところですよ」

 

自分から報酬の要求はしない
……イメージの変身をはかっているわけですか。
「もちろんです。こういう表現が適切かどうかはわかりませんが、今よりはずっと精悍なイメージを与えたいですね」
……スクリーン進出を計画しているそうですが、出演作品は決まりましたか。
「まだ決まっていません。どちらにしても、今年の9月から撮影に入って、来年の1月か2月に公開されるような映画を考えています」
……出演作品の決定が遅れているのは、もしかしてギャランティーの問題のためでしょうか。
「その点に関しては、おかしな誤解があるようなんです。私は今まで芸能界にいても、一度もこちらから『これだけ欲しい』と要求したことはないんですよ。それに、映画界にとって私はヒヨコ同然なのに、自分からそんな要求ができるわけがありません。どの作品が俳優として自分の価値を十分に生かしてくれるのかを考慮しているだけですよ」
以上のようなインタビューだったが、ペ・ヨンジュンの重要な発言があった。「9月には撮影に入る映画を考えている」という部分だ。つまり、この発言の1カ月ほど後に映画撮影を始める計画を立てていたということである。
それだけ、『愛の群像』の撮影終了後のペ・ヨンジュンは映画進出を真剣に考え、それなりに作品選択に取り組んでいたわけだ。
しかし、残念な噂が広まっていたのも確かだ。

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大型ドラマの出演依頼
それは、「ペ・ヨンジュンは出演料を上げるために作品選択を遅らせている」というものだった。テレビドラマで実績を上げながら映画界に一向に転身しなかったので、そういう噂が出てしまったのだが、ペ・ヨンジュンがギャランティーのために意図的に作品選択を遅らせるわけがない。
何よりも、「いくらテレビドラマで実績があっても映画界ではヒヨコ同然だ」と彼は自覚している。それほどに謙虚なペ・ヨンジュン……慎重すぎる性格が、いらぬ噂を生む結果になってしまったようだ。
ペ・ヨンジュンは本気で「9月に映画撮影開始」と考えていたのだが、結局のところ、その計画は実現しなかった。
彼は、持ち込まれた多くのシナリオを読みこなしたが、自分が納得できる作品にめぐりあわなかったのだ。
映画界への転身は大きな夢だったが、時期尚早と考えざるをえなかった。気が進まない作品に無理に出るようなことはしたくなかった。
そのかわり、テレビ界から魅力的な出演依頼を受けた。SBSが開局10周年を記念して制作する大型ドラマ『警察特攻隊』の主人公に誘われたのだ。
このドラマは、テロの鎮圧を任務とする特殊な警察隊員たちの愛と葛藤を描くもので、共演者にはペ・ヨンジュンが『若者のひなた』『裸足の青春』で共演したイ・ジョンウォンや、若手スターのキム・ソクフンが予定されていた。

 

社会人入試に合格
ペ・ヨンジュンは出演依頼を快諾し、早速、実際の警察特攻隊に体験入隊して意欲をみなぎらせた。
そんな矢先に、新たな朗報が届いた。
1999年11月12日、ペ・ヨンジュンは名門の成均館(ソンギュングァン)大学映像学科に合格した。
彼は自己推薦制度を活用して同大学を受験していたのだが、芸能分野で優れた能力を発揮していることが評価されて、見事に望みをかなえたのである。
高校を卒業したあと、二度にわたって大学受験に失敗していたペ・ヨンジュン。20代後半になって大願を成就させたわけであり、その喜びはとても大きかった。
「10年ぶりにまた学生に戻ることになりますが、本当にうれしいですね。『今こそ学ぶときだ』と思って、成均館大学の社会人入試に応募したのですが、こういう機会を与えてくださった大学に対して心から感謝します」
大学の授業は2000年3月から始まる予定となった(韓国では学校の新学年は毎年3月から始まる)。ただ、俳優との両立は困難が予想されたが、ペ・ヨンジュンはきっぱりと言った。
「学生と俳優のどちらに優先順位をつけるというより、すべてに対して最善を尽くしたいと思っています。どちらにしても、映像部分に対して幅広い知識を習得できれば、演技にも深みが出ると期待しています」
大学では、音楽か美術の同好会活動もしたいと抱負を語るペ・ヨンジュン。大学生活への期待は高まるばかりだった。
(次回に続く)

文=康 熙奉(カン ヒボン)

コラム提供:ロコレ
http://syukakusha.com/

2016.05.18

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