「コラム」陸軍で一番有名な現役兵となった東方神起ユンホ

ユンホ師団長とのツーショット

ユンホが陸軍の特級戦士に選ばれたとき、それを伝える記事にはかならず、師団長と並んで写っている写真が公開された。

この写真を見て、私(康熙奉〔カン・ヒボン〕)はかなり驚いた。なぜなら、師団長といえば、現役兵から見て雲の上の人。いつもなら遠くから仰ぎ見るだけなのである。

その「雲の上の人」と並んで写真におさまったユンホ。これはもう特別な存在になったと言っても過言ではない。

陸軍の公式サイトのトップページには、目立つ個所にユンホが特級戦士に選ばれたというニュースが掲載された。もちろん、ユンホが所属する第26師団の師団長とのツーショット写真も添えられている。この写真をじっくり見ると、かなり用意周到に撮られた広報写真であることがわかる。

2人の背景にあるポスターには、韓国語で「世界最高の機械化師団」と書かれている。「世界最高」と自負するところに、第26師団のブライドの高さがうかがえる。

師団長はユンホと一緒に賞状を持って立っている。同じ軍服を着ているが、長身のユンホと並んで立っても、身長のうえでは遜色がない。見た目の通り、師団長はなかなかの長身である。

名前はシン・イノ。階級は少将である。つまり将軍だ。

シン・イノ師団長の経歴が凄い。陸軍本部秘書室長、青瓦台(大統領官邸)国家安保室危機管理秘書官を経て、昨年4月に第26師団の第36代師団長に就任している。師団長の任期は2年ほどなので、来年の春までにはこのまま師団長を務めるだろう。ちょうどユンホが除隊する頃に師団長を退任するのではないかと思われる。

 

最善を尽くす姿は美しい

陸軍公式サイトのトップページでは、ユンホとシン・イノ師団長が並んだ写真を掲載しながら、次のような記事を紹介している。

「射撃、体力、精神力、戦闘技量のすべての課目で90点以上を達成すればこそ与えられる特級戦士の名誉を受けたチョン・ユンホ一等兵。軍人として最善を尽くす姿は誠に美しいです」

この紹介文の中の「最善を尽くす姿は誠に美しいです」という表現が、今回のユンホの快挙を端的に物語っている。

陸軍公式サイトのトップページでも大きく紹介されて、広く世に知れ渡ったユンホの特級戦士選抜。第26師団という花形の師団に所属していることも、ユンホの陸軍における存在感を高めている面がある。

そこで、ユンホがいつもいる第26師団について説明しておこう。

そもそも師団というのは、軍人が所属する組織の一番大きな集合体である。最小単位が10人前後の分隊であるのに対して、最大単位の師団は1万人前後の兵力となる。これだけの数の兵士がいるので、師団は「軍人の大きな町」にもたとえられる。

現在、韓国の陸軍には49万人ほどの兵士がいるが、師団の数は約40個にのぼっている。それぞれの師団に明確な役割があり、ユンホが所属する第26師団は首都ソウルの北方を防衛することが任務となっている。

その第26師団はソウルの北の郊外の楊州(ヤンジュ)にあり、さらに北にある議政府(ウィジョンブ)を守る態勢を整えている。

1950年6月に起こった朝鮮戦争のとき、軍事境界線から南進してきた北朝鮮軍の侵攻を防ぐことができず、ソウルは開戦からわずか3日で陥落している。

この屈辱は韓国軍のトラウマになっており、軍事境界線とソウルの中間にある議政府は、首都防衛の砦として軍事的に強化されてきた。

 

第26師団の兵士たち

第26師団の兵士たち。ユンホにとっては同じ師団の同僚となる(写真=韓国陸軍公式サイトより)

首都を守る機械化歩兵師団
私も議政府に行ったことがあるが、「軍人の街」と言っていいほど、市内には外出してきた軍人の姿が多かった。この議政府を防衛して北朝鮮がソウルに攻め込めないようにするのが、ユンホがいる第26師団の重要な任務なのである。

実際、北朝鮮の戦車軍団に対抗するために、第26師団は「機械化歩兵師団」として強力な戦車や装甲車を揃えている。他にも、憲兵隊、新兵訓練隊、偵察隊、医務隊を備えており、任務が重要なだけに訓練がとても厳しいことでもよく知られている。

もちろん、師団の中には軍楽隊もある。

本来の軍楽隊の役割というのは、「進撃ラッパ」に象徴されるように、勇ましい音楽で兵士の士気を高めることにある。しかし、平時においては、師団内での行事や対外イベントの際に音楽で盛り上げることが任務となっている。

軍楽隊は志願者が多いので、選抜試験によって隊員が選ばれる。その選抜試験には「実技」と「面接」があり、楽器別に合格者が決定されるが、楽器演奏の他に「実用音楽」というジャンルがあって「大衆歌謡」も含まれている。ユンホの場合は、このジャンルで合格したのではないだろうか。

今回、ユンホが特級戦士に選ばれて世間が称賛したのは、軍楽隊の所属でありながら、射撃と体力で超一流の能力を示したからだ。

一般兵士であれば、射撃と体力トレーニングは必須だが、軍楽隊員は音楽の練習が欠かせない。そのように自らの専門分野に集中しながらも、射撃と体力で抜きんでているのだからユンホはすごい。

おそらく、早朝や休日などに相当な体力強化をはかっていたのではないだろうか。他の兵士が休んでいるときにランニングや筋力トレーニングに励んでいるユンホの姿が目に浮かんでくるようだ。

 

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これが一等兵の階級章。ユンホも軍服に付けている

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ちらは上等兵の階級章。ユンホも近いうちに付けることになるだろう

面倒見がいい兄貴

ユンホは一等兵である以上は、軍隊のしきたりどおりに様々な用事をこなしていかなければならない。

その際、休憩時間がなくなるくらいに一番時間を取られるのが、部下たちの面倒を見ることだ。一等兵は、まだ軍隊に慣れていない二等兵を正しく導くことが義務づけられているのである。

それに関して、興味深いコメントがあった。

ユンホと同じ第26師団の出身という人が「ユンホは訓練所で若い連中をよく導いていた。芸能人だからと偏見を持っていたが、若い連中が大変なときに隊の雰囲気を良くしようと努力していた。それでも個人成績がすごいのだから、とてつもない同僚だった」といった主旨のことをネットにアップしていた。

こうしたコメントを読むと、ユンホが師団の中でも実に面倒見がいい兄貴であることが推測される。

第26師団は花形の師団だけに、施設も充実している。休憩時間に利用できるカラオケルームも設置されているという。

もしかしたら、ユンホもたまには息抜きで同僚と一緒にカラオケルームに行っているかもしれない。

あるいは、同僚の求めに応じて自分の持ち唄を歌うこともあるかもしれない。そのときは、とことん盛り上がるだろう。

気苦労も多いはずだが、ユンホのことだから、人間関係はソツなくこなしていくに違いない。

 

褒章休暇は日程次第

軍隊でみんなが一番多くプレーするスポーツはサッカーなのだが、第26師団は足球(チョック)が盛んなことでも有名だ。

足球は日本でなじみがないが、足で行なうバレーボールのこと。低めのネットで相手と対し、ボールを足で蹴って3回以内に相手コートに入れるのである。セパタクローに近いが、韓国独自の球技だ。

第26師団にいる以上は、ユンホも足球をプレーしていることだろう。特級戦士になっただけに、周囲も「運動神経が抜群」という目で見る。ユンホもヘタなプレーはできない。今後は、足球の練習に励むかも。

実際、特級戦士になるのは大変な名誉だが、「ぶざまな姿を見せられない」とプレッシャーがかかるのも事実。しかし、努力家のユンホのことだから、さらに「素敵な怪物」ぶりに磨きがかかるだろう。

最後に、特級戦士になってもらえる褒章休暇について。

通常は4泊5日の休暇がもらえるが、ユンホの場合は軍楽隊長からの指示を待つことになりそうだ。隊長の一存で休暇が6日や7日に増えることもありうる。隊長はそれだけの権限を持っている。

ただし、時期については、軍楽隊のスケジュールに合わせなければならない。練習や行事の日程がすでに入っていれば、すぐには休めない。一般兵士のように「すぐに褒美の休暇!」というわけにもいかないのだ。

しかも、これだけ特級戦士として注目を集めれば、いろいろな依頼が舞い込む可能性もある。忙しい日々が続きそうだ。

 

文=康 熙奉(カン ヒボン)
コラム提供:ロコレ
http://syukakusha.com/

2016.05.12

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