第2回/『王女の男』編
連日、多くのドラマが放送される韓国において、その撮影スケジュールは過酷の一言。俳優・スタッフたちは全身全霊を込めて作品に臨んでいる。それだけに、作品の数だけ撮影現場にも多くの物語がある。そんな秘蔵の撮影エピソードを大公開。これを知れば、ドラマがもっと好きになる!
主演として作品を引っ張ったパク・シフ
今回、取り上げるのは、韓国版『ロミオとジュリエット』と称される『王女の男』。敵対する家柄に生まれた子供たちの愛と苦悩を、朝鮮王朝時代に実在した大事件と絡めて描いた時代劇である。史実と創作を巧みに交えた脚本と俳優たちの熱演は高く評価され、最高視聴率24.9%を記録。韓国で一大『王女の男』旋風を巻き起こした人気作だ。
韓国ドラマは70分放送を週に2回も放送する。その結果、ドラマ撮影は本当にハードである。特に、韓服を着て乗馬や殺陣までこなす必要がある時代劇はより過酷だ。
『王女の男』もその例に漏れない。主演のパク・シフ自身、撮影当時のインタビューに「徹夜が続いていますが、撮影の合間に居眠りをして乗り越えています」と笑顔で答えている。
もっとも、苦境の中でも微笑みを浮かべて乗り越えるパク・シフの高い役者魂は、作品の成功に大きく寄与していたことだろう。
一方、『王女の男』の撮影を苦しめたのはスケジュールだけではない。本作の韓国放送は2011年7月から10月であり、序盤の最大の敵は”夏の暑さ”だった。
実は、韓国時代劇でよく見る豪華な韓服は、何重にも重ね着しなければならない。当然、動きは制限されて通気性も悪い。
それだけ韓国時代劇での夏の撮影はとにかく暑さとの戦いだ。本作でも出演俳優たちは撮影の合間に小型扇風機を片手に暑さをしのいでいた。それほど大変な撮影だったのだが、実際に作品を見ると、出演俳優たちはみな涼しげな顔をしている。まさに称賛すべき役者魂だ。
仲のいい兄妹のような関係
実は、主演を務めたパク・シフとムン・チェウォンの2人は、古くからの知り合いで兄妹のような関係だったことは有名だ。実際、ムン・チェウォンは作品に対するコメントで、「パク・シフさんとは兄妹のような仲でしたので、このように悲劇的ロマンスの主人公として呼吸を合わせることになるとは思いませんでした。パク・シフさんは、いまだに私を子供扱いするんですよ」とも語っている。
兄妹のような関係。確かに、それなら作中の息の合った演技も納得だ。
そんな2人の良好な関係を示す微笑ましいエピソードがある。それが物語序盤の見せ場であるセリョンとスンユのキスシーンである。
緊張した表情で目を閉じるムン・チェウォンと、徐々に顔を近づけるパク・シフ。お互いの唇が重なろうとした瞬間……ムン・チェウォンが突然吹きだしてしまったのだ。
その原因はパク・シフにあった。
なんと、キスの瞬間パク・シフは、喉を「ゴクリ」と鳴らしてしまったのだ。「韓国で一番キスシーンが上手い俳優」と言われるパク・シフでも、ムン・チェウォンとのキスには緊張が隠せなかったみたいだ。
思わず照れるパク・シフと、笑顔でからかうムン・チェウォン。2人の仲のよさがわかるエピソードだ。
(文=ロコレ編集部)
コラム提供:ロコレ
http://syukakusha.com/