第3師団がよく行なっている「捜索・偵察」訓練(写真/韓国陸軍公式サイトより)
超新星のゴニルが4月26日に入隊した。場所は、江原道(カンウォンド)・鉄原(チョロン)にある陸軍・第3師団の新兵訓練所だ。陸軍の場合、論山(ノンサン)にある陸軍訓練所で新兵訓練を受けることがとても多いが、ゴニルは第3師団に入ってそこで鍛えられていく。
軍事境界線を守る第3師団
第3師団で新兵訓練を受けるということは、除隊まで第3師団で軍務に励む可能性が高い。正式なことは新兵訓練の終了後に明らかになるのだが……。
第3師団がある鉄原は、ソウルから見れば直線距離で北に80キロメートルの地点。軍事境界線のすぐ南側である。冬は寒い。零下20度を下回ることが多く、風が強いと体感温度はすぐに零下40度以下になる。
この極寒の地を防衛する第3師団は勇猛軍団として有名だ。
別名は「白骨部隊」。白骨になるまで戦い抜く気構えを持つことが伝統になっている。なにしろ、シンボルマークは頭蓋骨。いかにも怖そうだ。
しかも、軍事境界線の南側を防衛する重要な任務を負っている。陸軍の中でも最強の1つと称されるのは、任務が特別だからである。
特に第3師団で重要なのが「捜索・偵察」訓練である。これは、軍事境界線を越境してくる北朝鮮の兵士を見つけ出す訓練である(写真参照)。軍用の犬を連れて、潜んでいる敵側の兵士を捜索することが特に重視されているのだ。
大部屋での就寝に慣れるしかない
ゴニルを初めとする新兵が、第3師団の訓練所に入隊すると、即座に練兵場で入所式が行なわれる。この式は、家族や友人たちも観覧することができる。
その入所式が終わると、新兵はすぐに兵舎に入っていく。家族や友人としばらくのお別れだ。
新兵たちは訓練所で兵士登録作業を行ない、その後に4日間の新兵準備期間に入る。この間には兵士としての訓練はなく、あくまでも、今後の軍隊生活に必要な手続きを進めていく。
果たして、どんなことをするのだろうか。
自己診断書の作成、身長・体重などの正確な測定、健康診断、体力テスト、知能検査、適性検査などを受ける。同時に、体操着や生活必需品の支給を受ける。
宿泊する兵舎の自分専用スペースは1坪もない。新兵たちは簡易布団を敷いて雑魚寝することになるのだ。
これが大変な不自由をともなう。これまで個室で寝ていた人間が大部屋の雑魚寝となると、そう簡単には熟睡できない。神経質な人なら、誰かのいびきが気になって一晩中寝られないかもしれない。
睡眠不足になったら大変だ。もっとも、環境に適応する能力が人間は高いので、じきに慣れるだろう。ゴニルの場合も、早く慣れればいいのだが……。
新兵訓練は全部で5週間
同期の新兵たちと準備手続きを進め、入所して4日目になって初めて軍服を支給される。その軍服を着た新兵たちは、さらに小銃を割り当てられる。
これによって準備期間は終わり、新兵たちは連隊入隊式に臨み、本格的に軍人としてスタートする。
ゴニルは兵役入りを延期してきたので、同期の中では最年長だろう。他の新兵はほとんどが20歳か21歳である。10人くらいでチームを組んだときにはリーダーをまかされるだろう。年長者として模範も示さなければならない。20代後半に入隊すると、こういうところにも気を使わなければならないのだ。
新兵訓練は準備期間も入れて合計で5週間。最初は制式(軍人としての立ち居振る舞い)を教え込まれる。続いて、うつ伏せのまま前進する訓練、射撃訓練、手榴弾訓練、ガス室訓練(催涙弾を浴び続けて耐え抜く訓練)、遊撃訓練(敵地を奪うために山野を前進する訓練)、救急法習得、行軍(20キログラムのリュックを背負って早足で20~30キロメートルを移動する訓練)などを行なう。
訓練は厳しいが、大勢の同期と助け合ってこなしていくことになる。その過程で、ゴニルもかけがえのない友情をはぐくんでいくだろう。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
コラム提供:ロコレ
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