たとえば、韓国時代劇に自分の先祖が出たとする。とてもいい役だった場合は子孫もうれしいだろうが、逆に、目も当てられない悪役だったときには、子孫がカンカンに怒ってテレビ局に抗議に出向いたりする。それは、韓国ではよくある話なのである。
申叔舟とは誰なのか
パク・シフとムン・チェウォンが“朝鮮王朝時代のロミオとジュリエット”を演じたドラマが『王女の男』で、韓国で大ヒットした。この作品は、1455年に起きた叔父(後の7代王・世祖〔セジョ〕)が甥(6代王・端宗〔タンジョン〕)から王位を奪う事件を題材にしている。
その中に申叔舟(シン・スクチュ)という人物が出てくる。
彼は1443年に日本に来ている。そのときの経験をもとに後に『海東諸国紀』という有名な本を出している。
語学に堪能だった申叔舟は、4代王・世宗(セジョン)がハングルを創製するときに、大変貢献したとも言われている。
そんな申叔舟が、世祖(叔父)が端宗(甥)から王座を奪うという大事件のときに、世祖の側についたのである。
史実をもとに、『王女の男』の中で申叔舟は裏切り者のように描かれている。本来なら、端宗を守る側にまわらなければならなかったのに……。
実際、申叔舟は世祖に気に入られ、後に大出世を果たしている。なんと、領議政(ヨンイジョン)という官僚最高の地位に就いたのだ。
今で言うと総理大臣のようなものだ。
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