第7回「舟盛りVS大皿いっぱい盛り」
韓国での刺し身の食べ方
刺し身が好きなので、新鮮な魚介類を出す店を探してせっせと出掛けている。
仲間と行ったときは舟盛りを注文する。いかにも刺し身が美味しく見えるように盛りつける店が増えた。
たとえ刺し身そのものは大したことがなくても、演出効果を存分に発揮した舟盛りが出てくると、舌よりも先に目でまずは満足する。
和食は、「盛りつけの妙」も味の内だ。その点では、刺し身の舟盛りは視覚効果が抜群である。
一方の韓国。北は大陸とつながっているが、東、南、西の三方は海に面している。小さい国だから島国のようなもので、海産物も豊富である。
私も、韓国各地の港町に出掛けて、好物の刺し身を食べてきた。驚くのは、その食べ方がとてもダイナミックなことだ。なにしろ、刺し身を食べるときは魚を丸一匹さばいてもらわなければならない。なぜなら、皿に数切れ盛った刺し身を注文するというシステムそのものが韓国の食堂にはないからだ。
具体的に、店での韓国式注文方法を見てみよう。
まず、魚の種類を選ぶ。ヒラメなのか、タイなのか。好みの一種類を選ぶ。
仮に「ヒラメ」と答えると、今度は店から何キログラムのものにするか聞かれる。
「3人なら5キログラムのものにしなさいよ」
そんな忠告も受ける。この場合、店はできるだけ大きい魚を注文させようとするので、客は店の言いなりになってはいけない。5キログラムと言われたら、「いや、3キログラムのものでいい」と少なめに注文してちょうどいい。
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