【エンタメ+】なぜ韓国広告は「善徳女王」「チュノ」を復活させたのか…15秒で視聴者をつかむ“懐かしさ”の戦略

■「善徳女王」が17年後も選ばれた理由

一方、旅行・レジャープラットフォーム「ここヨギ」が目指したのは、笑いだけではなかった。

同社は今年、新たなブランドキャンペーンとして時代劇の世界観を採用し、「歴史上の人物が愛した韓国旅行」というコンセプトを打ち出した。ドラマや映画で歴史上の人物を演じた俳優を起用することで、旅先そのものに物語性を持たせようとしたのである。

その中心に据えられたのが、「善徳女王」のイ・ヨウォンだった。

ブランド担当のカン・ソグ氏は、「イ・ヨウォンさんはトンマンそのもの。ほかの選択肢は考えられなかった」と振り返る。また、「ノリャン―死の海―」でイ・スンシンを演じたキム・ユンソク、「古山子、大東輿地図」でキム・ジョンホを演じたチャ・スンウォンについても、「作品の印象を残しながら、広告としては新鮮に感じてもらえる俳優を選んだ」と説明している。

イ・ヨウォン自身もバラエティー番組で、「『善徳女王』を今でも愛してくださるファンのおかげで、この広告を撮ることができました」と語っており、作品が長年にわたって愛され続けていることが今回の起用につながったことを明かした。

公開された広告は軒並み200万回以上再生され、中でもチャ・スンウォン出演版は公開から約2週間で420万回を突破。かつての代表作を知る世代だけでなく、SNSを通じて初めて作品に触れた若い世代にも広がりを見せている。

■「広告を見せる」から「広告を見たくなる」へ

では、なぜ人は広告だと分かっていても最後まで見てしまうのだろうか。

消費者心理学が専門のイ・ウンヒ仁荷大学教授は、「消費者にとって重要なのは、広告に対する心理的な抵抗感をいかに下げることができるかだ」と分析する。懐かしいドラマや映画のキャラクターは、親近感と好奇心を同時に呼び起こし、「広告だから見たくない」という警戒心を自然に和らげる効果があるという。

さらに、「今の消費者は広告そのものに拒否感を持ちやすい。だからこそ、まず『面白い』『続きが見たい』と思わせるコンテンツ性が必要になる」と指摘する。

ソ・ジュンソク氏も、「以前は企業が伝えたいことを一方的に届けるのが広告でした。しかし今は、消費者自身が楽しみ、自ら共有したくなるコンテンツでなければ広がりません」と話す。そのために重視しているのは俳優の知名度ではなく、「俳優が持つコンテンツ資産」を新しい形で生かすことだという。

17年前の「善徳女王」、16年前の韓国時代劇「推奴~チュノ~」。

本来なら過去の名作として語られる作品が、今では広告の主役として再び脚光を浴びている。

韓国エンターテインメントは、作品を「放送して終わり」にしない。ドラマや映画で生まれたキャラクターや名場面を一つの資産として育て、新たな価値を生み出し続けている。

だからこそ韓国では今、広告は「スキップするもの」ではなく、「思わず見たくなるコンテンツ」へと進化しているのかもしれない。

 

WOW!Korea提供

2026.06.28