D-LITEが自身初となる韓国ソロミニアルバム『D’s WAVE』を引っ提げたツアー『D-LITE 2025 ASIA TOUR [D’s WAVE] IN JAPAN』を、8月30日(土)、31日(日)の2日間、神奈川・ぴあアリーナMMにて開催した。
本ツアーは4月の韓国・ソウルを皮切りにアジアの各都市を巡り、日本公演は7月22日(火)、23日(水) 兵庫・ GLION ARENA KOBEに続き2度目となる。『D’s WAVE』の収録曲を中心に、これまで日本で発表してきた楽曲や、BIGBANGの名曲メドレーなどを披露した他、ライブ中盤では、8月27日(水)にデジタルリリースされたばかりの日本最新曲「Umbrella(Japanese ver.)」も歌唱して、全25曲(メドレー含む)、約2時間30分に渡るステージを展開した。ここでは30日の模様をレポートする。
開演時間が近づくと、観客の持つ無線制御型のペンライトの光が黄色に点灯。SEの「WINGS」をファンたちはコールも入れて歌い、準備は万端といった様相だ。すると、メインステージに設置された巨大ビジョンにオープニング映像が流れ、その音に生バンドのサウンドが重なると、ビジョンの中央が開いて、そこからD-LITEが姿を現した。「Hey! Yo! YOKOHAMA Welcome To My Universe!」と叫び、ライブは『D’s WAVE』のタイトル曲「Universe」で口火を切る。ミディアムテンポのロックサウンドのナンバーで、D-LITEの力強く伸びのある歌声が堪能できる1曲だ。ステージの天井と床の両方から火花が出る演出もありつつ、オーディエンスたちが大きな声でコールを入れて、初っ端からまるでクライマックスのような盛り上がり。曲の中盤からはダンサーも登場して、さらにステージが華やぐ。D-LITEの表情にも笑みがこぼれ、パワフルなロングトーンを響かせながら、最後は思いきりこぶしを突き上げて歌い終えた。
「日本の皆さん、元気でしたか!」と呼び掛けると、観客から大きな返事が返ってくる。「皆さんの声が僕の心に届いたのでここに立っていられるんだと思います」とファンへの感謝を述べ、自ら考えてきたというコール&レスポンスをレクチャーする。「皆さんのリズムのセンスがあるのかどうかまだ疑問でございます。できなかったら諦めて、普通のライブで行きたいと思います(笑)」と、彼らしいユーモアも挟みながら“ROCK”(D-LITE)“AND”(観客)というやり取りを練習。ファンたちはすぐに習得し、いい感じにキマって、2曲目「Last girl(with HAN YO HAN)」へと続く。
ライブ前半のブロックは韓国語曲を軸にし、D-LITEの歌い手としての幅を提示。D-LITEが作詞・作曲に参加したポップソング「JUMP」では、ダンサーとのコミカルなやり取りも見せながら、<JUMP>という歌詞の部分は会場一体となってジャンプ。メインステージから、花道でつながれたアリーナ席中央のセンターステージまで、すべてを使って観客を煽り、ハッピーな空間を作り上げた。一方、「빛 (Light)」では椅子に腰かけ、スモークが立ち込めるシックな雰囲気の中、君という“光”に向けた想いを綴った歌詞を丁寧に歌う。たとえ、韓国語が理解できなかったとしても、その歌声、表情から歌の感情がしっかりと伝わってくる。ラストには思わず息を呑んでしまうほどの美しいファルセットも聴かせてくれた。
中盤は日本語での楽曲を中心としたブロックに。日本以外の都市では韓国語だった曲も日本語バージョンで歌うなど、日本公演への想い入れの深さも伺わせる。その想いを直接言葉にする場面もあり、今回は韓国で発売された『D’s WAVE』を携えてのアジアツアーという形だが、『D’s WAVE』の制作では日本での活動が源となったと明言。また日本でのソロ活動11年目を迎えた今、「大事というか、僕の活動を見せれる曲」と、アジアツアーのセットリストに加えられている、日本ソロデビューアルバムの『D'scover』(2013年発売)のリード曲「歌うたいのバラッド」に加え、「Rainy Rainy」、「Dress」も歌唱した。「歌うたい~」はこれまで何度もライブで歌われてきた曲だが、毎回、新たな感情が呼び起こされる。原曲の持つ内省的な側面が、今のD-LITEが歌うと世界に向けた訴えのようにも聴こえてくる。体の奥底から魂を絞り出すように歌いながら、ふいにD-LITEが客席にマイクを向けると、会場一体となっての大合唱となる。歌を通してD-LITEとファンの心が通じ合っていくのを感じた。
さらにこのブロックでは「Umbrella(Japanese ver.)」も歌われた。D-LITEが作詞に参加し、日本オリジナルの日本語歌詞の新曲として制作され、今回の日本公演を記念して約8年振りにデジタルリリースされた楽曲。雨から自分を守ってくれるアイテム“Umbrella”=“傘”というキーワードから発展し、〈I promise you, I'll be your umbrella〉という歌詞には、この歌がリスナーの傘となって、心配や恐怖を乗り越えられたら、というメッセージが込められている。傘を持ったダンサーや紙吹雪が舞う演出が歌の情景を具現化しつつ、曲の前半は落ち着いた雰囲気だが、サビではその想いが溢れるような力強いD-LITEの歌声が真っ直ぐに届いた。
これまでパフォーマンスされる機会は多くなかったが、D-LITEが歌ってみたいと思っていたというBIGBANG曲のメドレーのあとは、衣装をイエローの華やかなデニムスタイルから、ブラックが主のカジュアルなものへと着替え、再び韓国語曲のブロックへ。『D’s WAVE』の世界がより色濃く描かれる。
重く力強いリズムをバックに、時に狂おしく悶えるような歌声が胸に迫る「Wolf」のあとは、バンドセッションを挟んで、D-LITE自ら作詞・作曲に参加した3曲が続く。「雰囲気を変えましょう!」との呼びかけ通りに、ダンサーとともに明るくハッピーな雰囲気を作り出した「Beautiful Life」、まさに広い空を飛んでいるような解放感と、その空を突き抜けるような歌声を響かせた「Fly Away」、そして、客席の一人ひとりに語り掛けるように歌われた「Us Before」。どの曲からもどんな大変なことや辛いことがあっても笑顔を忘れないD-LITEの人柄がにじんでいるように感じられた。
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