「猟奇的な彼女」、「僕の彼女を紹介します」などの映画で知られる韓国のトップ女優チョン・ジヒョン。
2004年作の「猟奇的な彼女」のイメージが強烈過ぎたため、「コミカル系女優」と誤認している人も多い。実はその後の徹底したイメージ管理で、今ではCM好感度「1位」の座を最も多く獲得し、同時に「清純派女優の代名詞」というイメージが強い。
しかし、“猟奇的なチョン・ジヒョン”の再臨を待つファンも多い。2012年作の「泥棒たち」で、少しその姿が見えそうだったが、物足りないうえ、2013年作の「ベルリンファイル」では、“粛清直前の可憐な北朝鮮女性”に戻っていた。
そんな彼女だが、今度は12年ぶりのドラマとなる「星から来たあなた」(SBS)に出演している。18日に放送を開始したこの作品は、彼女のネームバリューと先日終了した同時間帯の大ヒットドラマ「相続者たち」の余韻も加わり、初回で視聴率は15%を超えた。
なお、この作品は、1609年の韓国、朝鮮時代で起きたUFO出没事件をモチーフにしたロマンティックコメディだ。日本で言えば、徳川家康による江戸時代の幕開け時期。400年前のこの時代から韓国に住んでいる不老の宇宙人、ト・ミンジュン(「太陽を抱いた月」のキム・スヒョン)と韓流女優チョン・ソンイ(チョン・ジヒョン)の明るくてユーモラスな恋愛を描いている。
一方、初回の放送でチョン・ジヒョンは、見事な「酔っぱらい女」の演技を披露し、多くのファンの期待に応えた。ろれつが回らないほど酒を飲み、悪口やスラングを口にしながら千鳥足で右往左往したり、相手役のキム・スヒョンに罵声を浴びせるシーンをリアルに演じきった。
また、次のシーンでは、記者たちから、「スタイルを維持する秘訣について」質問されると、「ビタミンとオメガスリーを食べまくっていますし、『プロポフォール』も愛用しています。本当に効果があって体が飛ぶように軽くなります。」と答える。「プロポフォール」は、幻覚性のある麻酔薬であり、違法投与を繰り返したパク・シヨンなど、数人の有名女優が有罪判決を受けたのが最近。つまり、韓国では誰もが知っている「クスリ」なわけだ。まさに“猟奇的な”場面。結局、チョン・ジヒョンの「プロポフォール」は、蜂ヤニ健康食品の「プロポリス」と判明し、バカ丸だしのおち。
「猟奇的な彼女」の再臨を内心望んでいた視聴者たちを一発で魅了したチョン・ジヒョン。10年以上にわたり一貫して守ってきた「ナチュラル美女」「清純派女優」のイメージを自ら一瞬にして崩してしまった形となったが、アップグレードされた彼女の演技と今後の展開から目が離せなくなりそうだ。
チョン・ジヒョンの主演映画には、「猟奇的な彼女」に比べれば、それほど話題になっていない2000年作の「イルマーレ」もある。相手役は、「砂時計」のイ・ジョンジェ。この映画を見ると恋人たちが結ばれるという“幸運のデート・ムービー”として、封切当時の韓国では爆発的なヒットを記録していた。この年末、チョン・ジヒョンの“猟奇的な”姿しか見ていないファンには、おすすめの名作映画だ。