総合出版すばる舎より、7月3日(水)に新刊『成功したオタク日記』が発売された。本書は、韓国の釜山映画祭でチケットが即完売となり、大鐘映画祭では最優秀ドキュメンタリー賞にノミネートされた映画「成功したオタク」で長編映画監督としてデビューした、オ・セヨンによるはじめての著書として話題の一冊。
韓国芸能界を震撼させた大事件ーー
ひとりのファンが映画を撮って本を書いた!推しの逮捕、映画制作過程から公開までの全記録。
「成功したオタク」とは、自分が好きな分野で成功している人物や、好きな歌手や俳優に会ったことのあるファンなどを意味する言葉。突然「犯罪者のファン=失敗したオタク」になってしまったオ・セヨン。受け入れ難いその現実に苦悩した彼女は、同じような経験をした友人たちに会いに行き、映画を撮ることにした。
信頼し、応援していたからこそ許せないという人もいれば、最後まで寄り添うべきだと言う人もいる。ファンを辞めるべきか。私たちは加害者なのか被害者なのか。かつて、彼を思って過ごした幸せな時間まで否定しなくてはならないのか。
本書では映画に収録できなかった仲間たちへのインタビュー、そしてひとりのファンとしての“思いと時がつまった”日記と映像作家としての撮影日誌をすべて収録。怒りと悲しみ、苦悩と葛藤と後悔。悩みも揺らぎもそのままに、率直だからこそ胸を打つ、推しの逮捕から大ヒット映画「成功したオタク」制作・公開までの全記録となっている。
本書に綴られた言葉より
「あの集団のあまり良くない噂が聞こえてきたとき、「違う」とただ否定するだけでよかったのか。知りたくなかったのではないか。知ろうとしなかったのではないか。それとも、知っているのに知らないフリをしたのか。だったら、わたしは傍観者なのか。もしかすると加害者なのか。あの人を愛したわたしとは……。罪なき罪悪感に苦しんでいたけれど、罪がないわけではないのかもしれない。何も知らずに好きだったわたしは被害者だと思っていたけれど、ひょっとすると傍観者だったのかもしれない。苦しい。自分のことが、とても憎い」
「推し活をしながら、すべての瞬間が幸せだったと言った。この言葉に心を痛めている。推し活をしている人はみんな「成功したオタク」なのだろうか。幸せになるという目的は達成できたのだから。だったら、苦しくてつらいオタクは存在しないのだろうか。それとも美化されているだけなのか。本当はどうだろう」
「オッパ、なぜあんなことをしたんですか。本当にどうして。わたしが知っていたオッパの姿と違うのは、なぜですか。どうして今、オッパは拘置所にいるのでしょうか。わたしはソウルの大学に進学して、映画を勉強しています。そう伝えたかったのに。なぜ、そんなところにいるのか。本当に、どうして」
「なぜわたしのすべてのはじまりには、あの人が存在しているのか。頭がおかしくなりそうだ。<中略>傷は傷として残る。他のもので癒すことはできない。記憶は古い順に削除されるのではなく、終わりなく積み重なっていく」
書誌情報
タイトル:成功したオタク日記
著者:オ・セヨン
訳者:桑畑優香
四六版/320ページ(8ページ口絵含む)/定価:1,540円
(本体1,400円+税10%)
7月3日発売
ISBN978-7991-1239-7
C0098
販売先U R L
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◾️すばる舎 https://www.subarusya.jp/book/b646271.html
著者紹介
オ・セヨン
1999年、韓国釡山生まれ。韓国芸術総合学校、映像院映画学科在学中に映画『成功したオタク』で監督デビューを果たした。アジアを代表する映画際である釜山国際映画祭ではチケットが即完売、韓国のアカデミー賞と言われる大鐘賞映画祭では最優秀ドキュメンタリー賞にノミネートされ、韓国の劇場公開時には2週間で1万人の観客を動員し、「失敗しなかったオタク映画」として注目を集めた。目標は、書いたり話したり、撮影したり編集したりする仕事を続けながら、ユーモアを失わずに生きていくこと。
訳者紹介
桑畑優香
「ニュースステーション」ディレクターを経てフリーに。主な訳書に『BTSを読む なぜ世界を夢中にさせるのか』( 柏書房)、『BTSとARMY わたしたちは連帯する』( イースト・プレス)、『家にいるのに家に帰りたい』(&books/ 辰巳出版)、監訳書に『BEYOND THE STORY ビヨンド・ザ・ストーリー:10-YEAR RECORD OF BTS』(新潮社)などがある。