コン・ユは、1979年7月10日に生まれた。2001年にKBSドラマ『学校4』で俳優デビューし、2002年に『同い年の家庭教師』で映画に初出演してクォン・サンウと共演している。以後も、テレビや映画で活躍。その中でも大ブレークのきっかけになったのが『コーヒープリンス1号店』だった。
出世作で躍動したコン・ユ
『コーヒープリンス1号店』でコン・ユは、骨太の演技と同時にとぼけた味を披露。そのコントラストがとても面白かった。コン・ユ自身が特に印象的だったと語ったのはどのシーンだったのか。
「私が演じたハンギョルは、ウンチャン(ユン・ウネが演じていて、女性なのに男装していた)を男だと知りながら、それでも告白するシーンに妙なドキドキ感がありました。それまでそんなドキドキを感じたことがなかったので面白かったです。また、運転しながらウンチャンの電話を切った後に子供のように泣くシーンがあるのですが、2、3回テイクを繰り返すうちに涙があふれてきました。そのときは、『これ以上は出来ません』と監督に言うほど力が抜けてしまいました。自然に涙があふれてきたんです。ずっと演技をしてきて初めての経験でした」
この言葉を聞いていると、コン・ユがいかに全身全霊を傾けてハンギョルになりきっていたかがわかる。間違いなく、この『コーヒープリンス1号店』でコン・ユは俳優として大きな成果を得たのだ。
しかも、自分の演技に没頭するだけでなく、共演者のユン・ウネのこともしっかりサポートしている。男になりきって演技するユン・ウネに、そのことを徹底させようと手助けをしたのだ。
当時のことをユン・ウネがこう語っていた。
「コン・ユさんには、ヘッドロックをかけられたり、つつかれたり、ちょっかいを出されたり……。私が少しでも女性らしく行動すると、『やめとけよ。女みたいだぞ』と言われてしまいました」
パク・ウネは困惑しただろうが、演技のうえではコン・ユの「ちょっかい」が功を奏した。彼のおかげで男になりきることができた、というわけだ。
その後、コン・ユは『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』に主演して演技を絶賛された。
2017年の5月3日に行なわれた第53回百想芸術大賞の授賞式で、『トッケビ』はテレビ部門の主要な賞を次々に獲得。感激したコン・ユは次のようにスピーチした。
「重くて大きい賞は、弱い私に対して、『しっかりせよ』『もう躊躇せず、さまような』と言っているかのようです」
この言葉は意味が深い。コン・ユが常に迷いながら俳優活動を続けていたことがうかがえるからだ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
コラム提供:ロコレ