人間の生死に関わる不思議な人々が次々に登場するドラマ『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』。物語を引っ張る2人の男性……1人はコン・ユが演じるキム・シンで、もう1人がイ・ドンウクが扮する死神だ。2人の掛け合いが本当に興味深い。
奇妙な同居生活
イ・ドンウクが演じる死神は、既存の概念を覆すイメージを持っている。
死神というと普通は冷酷な存在。人間を悲劇に追い込むような役割なのに、『トッケビ』に出てくる死神はユ・インナ扮するサニーに一目惚れしたり、ちょっとしたことで喜怒哀楽をもろに出したりする。
あまりに感情がありすぎるのだ。
そこがこの『トッケビ』のユニークなところで、キャラクターの従来のイメージを変えながら、その存在に新しい価値観を付け加えていっている。
そんな死神に、王に裏切られて胸に剣が刺さったまま900年間さまよい続けているキム・シンがからんでいく。
人が死ぬ間際に現れて天国と地獄に振り分けていく死神とキム・シンとでは、お互いに交じり合う機会がないはずなのだが、どういうわけかキム・シンと死神は同じ家で同居するはめになってしまう。
最初から2人は反目する。それは当然かもしれない。友人同士が仲良く同居するのとは訳が違うからだ。
とにかく、キム・シンは自分の胸に刺さっている剣を抜いてくれる「トッケビの花嫁」を見つけなければならない。
一方の死神は、自分の仕事として死んでいく人をしっかりと導いていかなければならない。
そんな2人なのに、まるで学生の共同生活のように何かと小さなことでいがみ合っている。そういった場面は、シリアスなストーリーの中でも、思わず笑いがこぼれるような和やかなシーンになっている。
外に出ると、キム・シンも死神も自分のやるべきことをやらざるを得ないので深刻な表情になるが、家に帰ってくると2人ともリラックスする。
特に2人が食事をするシーンが見モノだ。お互いに離れて座りながら、気に入らないことがあると食器を相手にぶつけたり、わざと食事を邪魔したりする。
そんなイザコザの場面でのコン・ユとイ・ドンウクは、どう演じればこれほど笑いを誘えるのかと思えるほどに面白い。
俳優としていくら意識しても、こんな愉快な雰囲気は簡単に出せるものではない。やはり、2人が持っている相性の良さが絶妙に組み合わさって、漫才のような打ち解けた場ができあがるのだろう。いがみあっているのは事実なのだが……。
『トッケビ』のメインのストーリーは、コン・ユ演じるキム・シンとキム・ゴウンが扮するウンタクが、時空を超えた存在同士としてどのようなラブストーリーを展開していくか、ということ。これが本筋だ。
しかし、傑作になればなるほど、サイドストーリーというものが重要になってくる。そして、物語の前半で見事なサイドストーリーを作っていったのが、キム・シンと死神の奇妙な同居生活だった。
そういう意味でも、コン・ユとイ・ドンウクが2人で演じる余興的な場面が、『トッケビ』をより一層盛り上げて、視聴者をグイッと引きつけていた。
本当に、うまく作られたストーリーだ。それと同時に、コン・ユとイ・ドンウクの演技の力に心から感心してしまう。
構成=「韓流テスギ」編集部
コラム提供:韓流テスギ