韓国で大ヒットを記録中の映画「延坪海戦」。公開前は「興行には弱いだろう」と予想されていたが、いざ蓋を開けてみると、爆発的なヒットとなり、映画的な面白さなのか、愛国心からなのか、理由はどうあれ興行面で成功を収めたのは事実だ。
「延坪海戦」の成功は何より、俳優陣へ喜びを与えた。「僕が出演した作品がうまくいってうれしい」。俳優キム・ドンヒがそう語った。
劇中、クォン・ギヒョン役で出演したキム・ドンヒは、俳優としての喜びではなく、海戦で命を落とした英雄たちを国民が記憶してくれるという点がうれしい、と話した。そして、感謝の意を表した。
その一方で、映画を見た後、実在の人物であるクォン・ギヒョン氏に会うと、申し訳ない気持ちになっていったことを明かした。もっと多くのことを見せなければならなかったのに、自身に至らない点が多かった、そのためクォン・ギヒョンという人物をうまく表現しきれなかった、という思いから、「申し訳ない」との思いが次第に大きくなっていったという。俳優としての欲より、映画自体の意味を先に考えるがゆえ、浮かび上がる感情だった。
「作品がヒットし、本当に感謝している。戦いで命を落とした方々を忘れず、もう一度記憶しようと劇場に来てくれる観客が多いようで、その点はとてもありがたい。映画が少しずつ、さらにヒットしているのを見て感慨深い。俳優キム・ドンヒの思いよりは、彼らを知る機会になるという点が、何より感慨深い。実は、僕は遺族向けの試写会の席で完成した映画を見た。観客の立場で見ようと努力したのだが、遺族の方々と実際の人物がそこに来ていたため、『この方々はどのような思いで見るのだろうか』と、気持ちがそのような方向へ向いていった。そして、遺族の方々を見ると、感動してしまい…。映画が終わってから、実在の人物であるクォン・ギヒョン氏に実際に会ったのだが、僕が申し訳ない気持ちになった。もっと多くのものを見せなければならなかったのに、僕が力不足で申し訳なくて…。うまく表現できなかった、という心残りがあった」。
”実在の人物”を演じるというオファーに、キム・ドンヒは一度、出演を拒んだという。自分は、クォン・ギヒョンという人物を演じるには、あまりに力不足だという思いからだった。しかし、キム・ハクスン監督の信頼から、映画「延坪海戦」に合流することを決めた。このような機会を与えてくれたキム監督に「必ず感謝の気持ちを伝えたい」と話したキム・ドンヒ。
「最初は、出演はしないと思っていた。プレッシャーがあまりに大きく、シナリオの中には方言もたくさん出てくるのだが、準備も間に合わないと思ったから…。そして何より、クォン・ギヒョンという人物がどんな人なのかを知っていたから、偉大な功績を残した英雄は僕ではなく、もっと良い俳優が演じるべきだと思った。演じることに恐怖心もあった。しかし、監督からどうしてもお願いしたいとの連絡をもらい、監督を信じることにした。いまは、このような機会をくださったことに本当に感謝している。そこまで強力な認知度をもっているわけでもない僕に対して、この役をくださり本当に感謝でいっぱい」とし、何度も「感謝」という言葉をつかった。
「僕がこれまで成長してきたのと同時に、至らない点も、よりはっきりと見えてきた」と謙遜したキム・ドンヒは、「僕は口で『俳優です』と言うのが苦手。『演技に携わる人です』と言うようにしている。俳優と名乗るには、まだまだ至らない点が多い気がして…。本当に完ぺきに認められて、”俳優”という修飾語をもつに値する人になりたい。きっと来年、もしくは再来年までには…」と前を見据えた。
WoW!Korea提供