子供の名前の付け方も韓国と日本は大幅に違う。日本では親の名前の一字を子供に付けることがあるが、韓国ではそれをしない。むしろ、儒教や中国思想に由来する漢字を使っていく場合が多い。
時代を反映する名前
特に男子の場合は、朝鮮半島に伝統的に根付いている五行思想がよく採用されている。
具体的にいうと、「土」「水」「金」「木」「火」の順番に世代ごとに名前を付けていく方法である。韓国の男性の名前を見ると、どこかに「土」「水」「金」「木」「火」が入っていることが多いので、今度注意深く見てみよう。
女子の名前を付けるときには、「姫(ヒ)」「淑(スク)」「玉(オク)」「恩(ウン)」「珍(チン)」などの漢字がよく付けられる。日本では「玉」や「珍」は付けないが、韓国ではとても女性らしい漢字として採用される場合が多い。
名前の付け方は、時代が色濃く反映されていて、その時々の親の気持ちがよく表れている。
1945年というと、朝鮮半島が植民地支配から脱した年だが、このときの男子の名前で一番多く付けられたのはヨン(永)だった。当時は戦争の影響で短命に終わる男子が多く、親も息子の長寿を祈って「永」の字を付けたのである。
当時の女子の場合は、名前にジャ(子)をよく付けた。この頃に多かった名前のベスト5は、1位がヨンジャ(英子や永子など)、2位はチョンジャ(貞子や定子など)、3位はスンジャ(順子や純子など)、4位はチュンジャ(春子など)、5位はキョンジャ(慶子や京子など)となっている。植民地の影響で日本式の名前が多かったのだ。
それから30年後の1975年になると、子供の名前はガラリと変わる。男子の場合は、フン(勲)やソン(成)が多くなっている。息子の立身出世を願う親の気持ちがよく出ている。女子の場合は、「美しい娘になってほしい」という意味で、ミ(美)やウン(銀)が付くようになった。その30年前に多かったジャ(子)はまったく姿を消した。そのあたりの事情は日本も同様である。
そして現在。名前の付け方は多様化して、かつてのように同じ字をこぞって付ける傾向はなくなっている。まさに、韓国も名前で個性を主張する時代になったのだ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)