今は“俳優”という言葉がぴったり合うユン・ゲサンが、新たな映画で観客の前に現れた。ホヤホヤの新作映画「少数意見」。韓国で公開してからまだ日が浅いが、実は撮影してからずいぶんと日数が経っている映画だ。すでに2年前に撮影を終えた映画だが、公開に対する俳優の気持ちはどのようなものだろうか。
ユン・ゲサンもそうだ。特に劇を引っ張っていく弁護士ユン・ジヌォンを演じたユン・ゲサンは、「少数意見」が世に出ることになり、本当にありがたいという感想を伝えた。もちろんいつかは必ず公開すると信じていたというが、実際に公開を迎えてうれしいという。心配もあるがやっぱりうれしいようだ。
公開の感想を語りながら明るく笑ってみせるユン・ゲサンの顔から公開への期待はもちろん、どこか余裕を感じられるのはなぜだろうか。以前より、一層穏やかな雰囲気が漂うユン・ゲサンは、昨年の「god」再結成を変化の理由に挙げた。
“俳優”にならなければならず、俳優として犠牲にしなければならないことも多かった今までの人生ではなく、「god」時代にただ笑って騒いでいたあの時代の自分を取り戻したことが大きな変化をもたらしてくれたという。だからだろうか、激しく駆け抜けてきたユン・ゲサンは「興行成績への欲はもたないようにしました。演じられるということだけでも感謝しています」と言い、穏やかに笑った。その穏やかさがいい感じだ。
―映画の公開を待っている間、どんな気持ちでしたか?
すぐに公開しない理由があるのだろうと、ずっと思っていました。次の作品を撮影していたので、ただ公開だけを待っていたわけではないから、ちょっと忘れていたこともありました。制作会社から情報をもらっていたので、突然思い出したりしたけど、制作会社の社長がはっきり公開するとおっしゃっていたので、するんだろうなと思っていました。
―ついに公開すると聞いてどうでしたか?
公開1か月前に話を聞いたんですが、本当にありがたいと思いつつも突然心配にもなりました。2年前の記憶が全くなくて、いいことばかりじゃないだろうにと思いました(笑)。
―劇中のユン・ジヌォンと自分が似ていると言っていましたが、どういった部分が似ていますか?
「少数意見」の前に準備していた作品もうまくいかずにダメになった時でした。監督も長い間作品を準備していてダメだった時期でした。このエネルギーを持った二人が命をかけてみようと話したんです。だからとても恐ろしいほどのエネルギーが見えたように感じます。そのエネルギーがあったから、ユン・ジヌォンらしい姿が出てきたんだと思います。
―最近、俳優としての悩みはありますか?
もう少し自由に演じたいと思っています。うまくできる、できないというのは不可能だと感じ、時間がたくさん与えられて挑戦的なものよりは、完成度のある作品に僕が上手くやれることをたくさんお見せしなきゃと考えています。何日か前に展示会に行ったのですが、すごかったです。その画家が追求している単調さが一番大きな芸術の境地だということを悟りました。僕もちょっと似ている気がします。複雑で派手なものだけがいいのではないと思っています。演技は伝えることだけど、技術的にたくさん知っていたとしても確実に伝えられるかわからないし、確実に伝えられる演技にぐっとくるんだと思うんです。カッコよさは二の次です。
―昨年の「god」再結成がご本人に多くの影響を及ぼしたようですね。
本当に良かったですね。あの時のことを思い出し、自分を取り戻せたのはラッキーだと思います。それがどんなに大きな財産で、大事な思い出なのか忘れて過ごしていました。前だけ見て走ってきたように思います。それが今、僕が変わったきっかけでしょうね。あの時のことを思い出させてくれる人が存在し、あの時の僕として見てくれる人が存在するというのは、本当に大きな財産だと思います。今は俳優だからと調節して、気をつけて、俳優としての人生で犠牲になる部分がたくさんありました。だけど過去のユン・ゲサンはそうじゃなかったんです。僕を愛してくれた人たちは、あの時のユン・ゲサンとして覚えてくれていたのではないかなと思って気持ちが楽になりました。再び過去の自分を見つけられたようで、じーんときました。
―興行成績への欲は本当にないんですか?
ありません。本当にそういった欲はなくしました。演じられることだけでもありがいです。いつかは興行する日がこないのではないかと思っています。僕にとっては業界人の評価が一番大事な気がします。確かにいつかはいい成果が出るだろうと考えながら過ごしています。初めは期待していたのは事実だけど、それをやめてみたら作品を見る目が変わりました。もっと大事なものを見ることができるようになった気がします。不思議とキャスティングは続いています。俳優という職業は誠実にならなければ、すぐにバレてしまう気がします。心から一生懸命にする人がいたとすれば、10人中1人がうまくいけばいいのだそうです。その1人が存在するようで、うれしいです。
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