<W解説>韓国の芸能事務所「HYBE」による同業「SM」買収、「『モンスター』エンタメ企業」誕生に伴う懸念

 

突然の業界再編に衝撃が走ったが、韓国の有力紙・ハンギョレ新聞は「期待と懸念が交錯している」と指摘。「HYBEがSMを買収することになれば、シナジー効果によってグローバル市場での競争力が高まるだろうという観測が出ているが、K-POPの多様性が脅かされることになり得るという懸念が少なくない。時価総額11兆ウォン(約1兆2000億円)に達する単独企業が音楽産業を主導することになれば、中小芸能事務所の活躍の場が減り、格差がますます広がりかねないという声もある」と伝えた。


ある音楽業界関係者は同紙の取材に「所属会社の企画の方針はアーティストの音楽とスタイルを決めるため、1つのエンターテインメント会社にK-POPを主導するアーティストが多く所属することになれば、どうしても多様性は低下する」とし、「様々な芸能プロダクションが競争する構造ではなく、大型芸能プロが事実上独占する構造は、K-POP全体の発展にはあまり役立たないだろう」と述べた。また、別の関係者は「今でも大型芸能プロの所属でなければアーティストとしてデビューして知名度を上げるのが難しい構造なのに、『ビッグ4』(HYBE、SMエンタテインメント、JYPエンターテインメント、YGエンターテインメントの韓国4大芸能事務所)の構造が崩れ、HYBEの規模がより一層大きくなれば、中小芸能事務所やインディーズ音楽界は一層立場が狭まり、多様性は消えるだろう」と懸念した。

また、今回の資本提携にはSMエンタの現経営陣も反対しており、10日、取締役や管理職、計25人の連名で「反対声明」を発表した。イ氏は近年、自身が保有する企業とSMエンタの商取引をめぐる問題でSMエンタの現経営陣と対立している。声明では「我々はHYBEを含む外部の敵対的M&A(合併・買収)に反対する。特定株主による私物化に反対し、株主権利保護のために最善を尽くす」とした。

HYBEにとってSMエンタ株の取得には、アーティスト基盤を固めることで現在グループ活動休止中の「BTS」の不在の穴を埋める思惑もある。しかし、SMエンタの現経営陣が資本提携に反対していることから、HYBEの戦略通りに事が進むかは不透明で、今後の展開が注目される。

WOW!Korea提供

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2023.02.16