「コラム」ドラマで理解が深まる韓国の生活スタイル「第5回/酒席での礼儀」

日本人なら誰でも、茶碗を置いたまま食事をすることは、「犬や猫の食事のようで行儀が悪い」ことだと知っているはずだ。しかし、韓国では逆に茶碗を持って食事をすると行儀が悪いと見なされる。

 

酒席でやってはいけないこと
韓国で茶碗を持って食事をしないのは、かつて両班(ヤンバン/朝鮮王朝時代の貴族)といった支配階級の人間たちが、茶碗を置いたまま食事をした習慣が残っているためである。当時は、茶碗を持ったまま食事をする者というのは、お膳などを買う金のない貧しい人々だと見なされていた。
また、酒席で酒は飲み終えるまで注がないのが原則である。


日本で酒を注がれる際に、コップに残っている状態からそのまま注ぎ足す光景をよく目にする。しかし韓国ではこの「注ぎ足し」はご法度である。
韓国では祭祀(チェサ/日本の法事にあたる)を執り行なう際に、死者に対して添酌をする風習があるため、酒席で注ぎ足しをすることは、相手に対して「あなたは死者です」と伝えることになってしまう。韓国人相手に酒を注ぐときには、相手のコップが空になるのを待つか、飲み干すよう促してから注ぐことをお勧めする。
また、日本同様に韓国でも箸を使う食文化があるが、日本と違うのはスプーンを多用することである。

器を持たない習慣がある韓国では、汁物を飲むときにスプーンがないと飲みづらい。そしてその延長線上でご飯もスプーンで食べてしまう傾向がある。これはビビンパに代表される「混ぜる文化」のためであろう。韓国ではご飯を汁物に混ぜて食べる、いわゆる「ねこまんま」をする人が結構いるのだが、その際いちいちご飯を箸で汁物に入れ、それをスプーン食べるという具合に使い分けていると面倒くさい。そこでスプーンひとつでご飯も汁物も済ませてしまうのである。
この場合、箸は料理を食べるためだけに使われる。

文=「ロコレ」編集部

 

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コラム提供:ロコレ
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2022.08.15