韓国ドラマ『39歳』は、アラフォーでキャリアウーマンの三人の女性が、恋愛トークや仕事の悩みや将来の夢などで盛り上がるストーリーかと思い見始めた。しかし、そういう部分があるものの、メインは親友の死をテーマにしたストーリーだった(ネタバレを含む内容になっています)。
親友に最高の人生を!
三人の人生はそれぞれで、ミジョ(ソン・イェジン)は児童養護施設で育ち、優しい家族と出会い養子縁組をしている。現在は美容皮膚科の院長をしている。ミジョの病院で働く優しい皮膚科医ソヌ(ヨン・ウジン)と良い関係になる。
チャニョン(チョン・ミド)は演技指導のコーチをしている。以前は自分も女優になる夢があった。エンターテインメント会社代表のジンソク(イ・ムセン)という彼がいる。ジソクの母親の反対で結婚できず不倫関係にある。
ジュヒ(キム・ジヒョン)は百貨店の化粧品売り場で働いていた。しかし、いつもは穏やかなジュヒがわがままなお客と対立して退職してしまう。中華レストランのシェフ、ヒョンジュン(イ・テファン)と仲良くなる。
こんな三人が高校生の頃に出会い苦楽を共にしてきた大親友になる。その大親友の一人チャニョンが死を宣告されてしまう。
家族と同じくらい大切な親友が亡くなる……。その現実に向き合わなければならない。出会った頃からいつも一緒にいた友がいなくなってしまうのだ。悲しみと不安が入り混じった気持ちはどうしようもない。ミジョとジュヒの涙が切ないほど胸を打つ。
チャニョンは病院で死を待つだけは嫌だ、と治療を拒否する。
ミジョもジュヒも何をしてあげたら良いのかわからない。少しでも長く一緒に過ごせるように、と身体に良い食事を作り、身の回りの世話をしたくて仕方がない。
できるだけ明るく過ごすが、ミジョもジュヒも一人になると涙が止まらない。誰もが死に直面する時がくる。避けられないことなのだが苦しくて仕方がない。
チャニョンが実家に帰り両親と川の字になって寝る場面や、母親が一人でベンチに座っている後ろ姿がなんとも言えずに悲しい。娘が自分より先に逝ってしまうのだ。母親が一人肩を震わせて泣いている姿を見ているチャニョンも辛かったに違いない。
終盤では痛みに襲われたチャニョンが病院に搬送される。
数日後、チャニョンはたどたどしい足取りで病院に直結している葬儀場に偶然行ってしまう。そこでの情景を自分に置き換えて見入ってしまうのだ。
チャニョンは自宅に帰ることを希望した。
そして、ミジョに「もしもの時」の訃報連絡先のリストを渡す。それを元に、ミジョとジュヒはこっそりと友人たちに連絡をとりチャニョンに合わせる計画をする。
チャニョンとジンソクがブランチに行くとそこには懐かしい顔がたくさん揃っていた。
チャニョンはお別れの挨拶をした。素敵な仲間に囲まれて最高の人生だったに違いない。
この場面は悲しくて涙があふれたがとてもきれいな場面だった。
その後もチャニョンは精一杯頑張った。
ミジョは夜中にいつ携帯が鳴るか怖かったに違いない。毎日携帯を離さずに眠った。
とうとうその時がきた。
ジンソクからの着信だった……こういう展開になっていく『39歳』というドラマ。登場人物のみんなにエールを送りたい気持ちだ。
文=須坂のりこ
コラム提供:ロコレ