ナム・ジュヒョクが演じたペク・イジンのセリフを思い出していて、真っ先に浮かんだ言葉が二つ。一つは、第9話のラストシーンで彼が言った「虹は必要ない」だった。このセリフも良かったが、気になるのはもう一つだ。それは?
ペク・イジンの感情
第13話のラストシーン。
キム・テリが演じるナ・ヒドをそのまま置いて、ペク・イジンは家に戻ってしまった。
外は雪が降っている。
ナ・ヒドの悲しみは大きい。
見ていて胸がしめつけられた。すると、ガシャンと扉が開く音がして、急にペク・イジンが現れてナ・ヒドの帽子を取った。
そして、ペク・イジンがナ・ヒドにキスをした。
感情が高ぶったペク・イジン。彼は「ミッチゲッタ」と言った。
字幕では「まいったな」となっていた。
でも、違う。ペク・イジンが言った「ミッチゲッタ」は「まいったな」ではないと思える
それでは、日本語でどう訳せばいいだろうか。
いろいろ考えてみて、あのときのペク・イジンの感情を表すとしたら……。
「どうにかなりそう」
「好きでどうしようもない」
こんなニュアンスではないだろうか。
ペク・イジンはナ・ヒドにキスをして、「もうどんなことがあってもヒドを離さない」と思ったはず。その感情こそが「どうにかなりそう」「好きでどうしようもない」というセリフなのかも。
ペク・イジンが言った「ミッチゲッタ」を日本語にするなら?
みなさんなら、どう訳すだろうか。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
人間に肯定的に向き合えるドラマ/とてつもない傑作物語『二十五、二十一』16
コラム提供:ロコレ