【情報】『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者チョ・ナムジュら、韓国フェミニスト26人による、フェミニズム宣言『いいから、あなたの話をしなよ 女として行きていくことの26の物語』がアジュマブックスより発売に!

シスターフッドの出版社アジュマブックスは、『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者チョ・ナムジュ、『ハヨンガ』の著者チョン・ミギョンら、韓国を代表するフェミニスト26名によるエッセイ集『いいから、あなたの話をしなよ 女として行きていくことの26の物語』を2022年5月6日(金)に全国の書店・ネット書店等で発売いたします。
  • フェミニズムに出会って自由を着た

「私はこの国で女として生きる悩みと後悔と恨みを『82年生まれ、キム・ジヨン』という小説にした」
チョ・ナムジュ

韓国の出版社「if books」からの3冊目の日本版刊行となります本書には、韓国を代表する多種多様な26名のフェミニストたちが登場します。

彼女たちがフェミニストになった理由はさまざまです。

性被害に苦しむ女性、女性ばかりが世話を焼かされる親戚が集まる年中行事が嫌だと嘆く女性、母親のようにはなりたくないと思いながら同じ人生を歩んでしまう女性、子どもに時間を奪われたと恨む女性、弟が生まれてくるのが怖かった女性、男のやり方を真似して非難される女性、彼氏に隠し撮りされた女性、自慰をオープンに語る女性、デジタル性犯罪と戦う女性、ロリコン表現に抗う女性、抑圧された自己嫌悪癖からの解放を唱える女性、息子を産めなかった母親を責める父親から解き放たれて闘士となった女性、子どもが産めない圧力をバネに小説家になった女性、フェミニスト連帯によって産後鬱から救われた女性、フェミニズム活動に疲れ遠ざかるもセウォル号事件を機に再び戻ってきた女性、女性だけ焼肉のハサミとトングを渡される&セクハラに腹を立ててクビになった女性社員、過酷なワーキング・マムとの連帯を目指す独身フェミ女性、自分を愛さなかった母や祖母を異文化から理解しようとする女性、政治的正しさの息苦しさからの解放を謳う女性、文壇を支配する性差別意識を告発する女性、肥満への偏見を打破し自由な服を生み出す女性、娘の疑問にフェミニストの立場から答える母親、フェミニズム雑誌で働くうち自分もフェミニストになった女性、夫に頼らず子育をした経験を詩に昇華させた女性、女児間引き問題をきっかけに政治運動に関わり続ける女性、労働運動から心の病に陥るが渡米と子育てで克服した女性……。

フェミニストはこうあるべきという固定概念を打ち壊す、多様性がここにはあります。自分と同じ体験と出会うことで「自分だってフェミニストになって良いのだ」、「フェミニストになることをあきらめなくて良いのだ」と自覚することができます。声を上げる勇気、好きに生きる自由、女性同士が連帯する力、を掴み取れるよう、本書が背中を押してくれることでしょう。

彼女たちの共通点は、
「私たちは皆、韓国で生まれ、育ち、それゆえ、フェミニストにならざるをえなかった」
という点だけなのです。

私たちのフェミニズム物語

是非、本書を読んで、あなたの物語も語ってください。
「いいから、あなたの話をしなよ」

  • フェミニスト(シスター)たちの連帯を夢見て

「世代別経験のあまりに大きな隔たりが、今の大韓民国に生きるフェミニストたちの連帯を妨げていた」と、26人からの告白を受け取ったチョ=パク・ソニョンさんは語ります。

フェミニストたちはどうやって逆境を生き抜いていったのでしょうか?

フェミニスト宣言をしたばかりの若い女性たちは、過激だった先輩フェミニスト姉さん(シスター)たちが今どうしているのか知りたがっていました。

一方で先輩フェミニスト姉さん(シスター)たちも、若いフェミニスト妹(シスター)たちが、どんな過程を経て、こんなにも勇敢に激烈に、最後までくじけずに、フェミニズムを叫び続けているのかを知りたがっていたのです。

本書は、そんな心細さを感じていたフェミニストたちの世代間連帯を夢見て、フェミニストたちが率直に物語れるよう、聴くことができるよう、願い、編集されました。

女性とはひっくるめられた単一の主体ではありませんし、フェミニズムの理想郷は一つだけではありません。その多様性を本書を通して見てほしい。そして、大韓民国という激動の時間と空間を生きる女性たちの勇気に共感してほしいと思います。

  • 著者、翻訳者、監修者、解説者プロフィール

著者:(掲載順)
キム・ソヨン 김서영
「京郷新聞」記者。生き残ったのではなく、生きることを望んだ女性。(潜在的)フェミニストの頼もしい友軍になりたい人。

チェ・ナロ 최나로
メガリアン、「雑誌サシム」エディター。ものを書くフェミニスト。

アン・ヒョンジュン 안현진
フェミニズム・アクショングループ「江南駅10番出口」、ゼロ−ゼロフェミニストたちのネットワーク「汎フェミネットワーク」、「女性環境連帯」活動家。

イ・セア 이세아
2014年から「女性新聞」の記者として働いている。大学卒業後いくつもの仕事をし、いくつもの壁にぶつかったが、全てが「女性」というキーワードで繋がっていることに気づいてフェミニズムを勉強している。思慮深い猫・ラムと暮らしている。

ホン・スンヒ 홍승희
文章を書き、絵を描くパフォーマンスをしている。主に私の体が記憶していることを記録。「ハンギョレ」、女性主義ジャーナル「イルダ」にコラムを連載。

ハ・イェナ 하예나
DSOチームの代表として働いている。力不足のため、お荷物にならないようあがいている。いつか誰かの力となり、助けとなれる人間になりたい。家と外を行き来して、フェミニズム運動をしている。

クク・チヘ 국지혜
フェイスブックを基盤に活動しているネットフェミ。ウォーマド系と呼ばれ急進女性主義政治学を実践している。

ホン・スンウン 홍승은
歌を歌い、文章を書き、絵を描く人。女性嫌悪社会で育つうちに体に深く染みついた自己否定感を克服するため、逃げ隠れせず言葉を発する練習をしているところ。著書に『あなたがずっと不愉快なら、結構なことです』があり、女性主義ジャーナル「イルダ」、「女性新聞」に記事を連載中。

タルリ 달리
仕事と遊びの間をゆったり行き来しながら、智異山(チリサン)女性主義文化団体「文化企画 月」運営者(?)。フェミニスト・タロット・リーダーという職業にしてアイデンティティを作った。サバイバーであることを超え、生きる喜びの舞を探し求める今の時間を楽しんでいる。

​チョ・ナムジュ 조남주
小説『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者。20代でテレビ時事教養番組の台本を書き、30代で子どもを育て、40代では一生懸命小説を書きたい。

パラン 파랑
ひょんなことからフェミニズムと出会い、ひょんなことから女性団体で活動している。フェミニズムの実践とは何か、今日も悩んでいる活動家。ひょんなことから出会ったフェミニズムだが、それが偶然なのか必然なのか知りたいフェミニスト。

チョ=パク・ミギョン 정박미경
40代初めまで十二の職業を転々とした。そのうち最も輝かしい履歴はもちろん「イフ」編集長だった。人生がうっすら退屈になっていたある日、とある昔の女が私の元を訪れたことから小説『大雨』を書き、その年小説家として登壇した。今は小説家として生きており、残りの人生もずっとそうしてゆきたい。生きるのに理由はないが、意味までないとは思わない。素朴すぎて過剰になりがちなその意味を見失わないよう努めながら、気立のよい夫と、その百倍気立のよい動物たちと家族として暮らしている。

ピョン・ギョンミ 변경미
自称・他称ともに「西大門の美室(ミシル)」。パチパチ弾ける好奇心いっぱいで、お節介で、時にボーイッシュでタフで、時にジャズとカクテル、ロマンチックなものを好んで、テレビを見ながらよく涙を流すロマンチックな感性の持ち主です。

チョ=パク・ソニョン 조박선영
「イフ」ポッドキャストを2年間続けておりこれからも続ける予定。牡羊座、エニアグラム・タイプ2の「人を助ける人」。それゆえせっかちな助力者だ。せっかちでずぼらだが人を助けることは好きなので、心意気はよいのだが結果が時々いまいちなのが惜しい。それでも性格は変わらず結局何でもやってしまわなければ気がすまない。それが長所にしてブラックホール。

パク・チア 박지아
ソウル女性会・性平等教育センター長。19歳で出会ったかっこいい先輩たちがいわゆる運動圏の人たちで、20歳から本格的にその道に入って行った。進歩派雑誌社記者、市民団体幹部、進歩政党職員、女性団体常勤等、さまざまな仕事をしたが結局はずっと同じ場所に立っていた。講義で生計を立て、講義以外にいくつもの仕事をする忙しい日常を楽しんでいる。これが運動圏に生きる人間の最大の喜びと言うべきか、善良な人々に囲まれて暮らしている。

キム・ヨンラン 김영란
どんな本でも売って差し上げる伝説のブック・マーケター。1997年、24歳でイフと出合い、ユ・スギョルと出会った。その時ユ先生は私の手帳にこう書いてくださった。「イフの宝、キム・ヨンラン」That’s all! これ以上付け加える必要はない。

チョン・ヒギョン 전현경
募金ノウハウを学んでフェミニズム運動界を潤沢に(?)してやろうと「美しい財団」に入ったが、資金調達法に精通することもできず、利他主義と市民気質を一生の業として背負いながら生きている。それでも肉体と精神がフェミニズムに準拠しているのは相変わらずだ。

イ・ジノク 이진옥
社団法人「ジェンダー政治研究所 女勢連」代表を務めており、2人の子どもと多文化家庭を持っている。

パク・ミラ 박미라
20年前にはフェミニスト・ジャーナル「イフ」の初代編集長。10年前からは瞑想や癒しのための作文を指導し、相談を受けて暮らしている。読者たちが気になっていると思うので付け加えると、あれほど不和になったイフの旧友たちとは、以前と同じでいて違う姿で今もともにいる。私たちの美徳は、いがみ合いながらも最後まで互いを見放さないことだ。そして苦しみながらも葛藤の本質に戻って直視したことだ。あの恐ろしいイフの女たちが今の私を作ってくれた。

クォン・ヒョンナン 권혁란
自分も世界も人間も一番美しかった時代にフェミニスト・ジャーナル「イフ」の3代目編集長となった。以降波に乗って揺れ、浮き沈みが激しかった。生まれつきの方向音痴だが、行くべき道を見失ったと思ってことはない。歩いて行った道はどれもよかった。妙に悲しく愚かな旅行エッセイ『トラベルテラピー』を出してから、外国人のための韓国語教師となり、生存に必要な最低限の韓国語でも純文学が書かれうることを目撃した。「ゲーム・オブ・スローンズ」のアリアが目指すNo Oneの世界を待ちながら修行している。

チェ・ミラン 제미란
アート・ワークショップ・リーダー。
フェミニスト・ジャーナル「イフ」創刊からアート・ディレクターとして仕事をしていたが、フランスに渡ってパリ8大学女性学科で現代女性美術を学び、博士課程を修了した。

キム・ミギョン 김미경
27年間育って学んで、27年間仕事をし、あとの27年間ほどは画家として生きようと決めた。54歳になった2014年、専業画家宣言をした。ソウル景福宮の隣、西村(ソチョン)の屋上と通りで町の風景をペンで描き、食べて暮らしている。「西村屋上画家」とも呼ばれる。『ブルックリン午後2時』(2010年)、『西村午後4時』(2015年)という本を出し、展示会「西村午後4時」(2015年)と「西村の花畑」(2015年)を開いた。自分を「生活の中でフェミニズムをそっと実践して生きる女」だと思っている。絵でフェミニズムの自由さを表現できる日を夢見ている。

ファン=オ・グミ 황오금희
25歳で「女性新聞」の記者として女性主義メディアの一員となってから、フェミニスト・ジャーナル「イフ」と「女性新聞」で編集長として働いた。以降6年以上国会で補佐官として仕事をし、国家システムを把握する貴重な経験を積んだ。2011年9月、ストーリーテリング・コンテンツとキャラクターを開発する「マイ・ストーリー・ドール」を設立。全国自治体を顧客にストーリーテリング・プロジェクトを進行しながら、都市ブランディング、都市マーケティング、観光活性化案を開発している。

ユ・ジヒョン 유지현
詩集『月の歴史』作者、詩人。

コ=ウン・グァンスン 고은광순
韓方医。平和の母の会、東学実践市民行動代表。子どものころから従順だったそうで、トルリム字(一族の世代ごとに共通して名前につける字)「グァン」に「スン(順)」を付けられた。無口で静かだったため子ども時代のあだ名は「ご隠居」、しかし人一倍の正義感のため戦っては逃げられずに戦って戦ってまた戦って深みにはまり、気づけば還暦を越えていた。朝鮮半島統一をこの目で見るためには、もっと戦って深みにはまらなくちゃならないだろうか。

ユ・スギョル 유숙열
過ぎたことだから言うのだが、7年以上闘病生活を送っていた。薬の副作用で体重が15kg増えて、久しぶりに会った人が私を見分けられないこともあった。近頃は気持ちも安定し、健康も取り戻した。今では10余年前の今ごろ病気になってよかったとさえ思う。私はあのとき立ち止まらなくてはならなかった。振り返ってみれば、私は暴走機関車のように生きていた。病気にならず走り続けていたらどこでパンクしていたか。人生とはそういうものだ。立ち戻って鏡の前でお姉さんのように、いやおばあさんのように生きてゆきたい。

翻訳:大島 史子(おおしま ふみこ)
立教大学法学部卒業。イラストレーター、漫画家。ラブピースクラブコラムサイトでフェミニズムエッセイ漫画「主人なんていませんッ!」を連載。翻訳書に『ハヨンガ」『根のないフェミニズム』(アジュマブックス刊)がある。

監修:李 美淑 (Lee Misook)
立教大学グローバル・リベラルアーツ・プログラム運営センター・助教。専門はメディア・コミュニケーション研究。国境を越える市民連帯、社会運動とメディア、ジェンダーとメディア、ジャーナリズムについて研究。

解説:北原 みのり(きたはら みのり)
作家、女性のためのプレジャーグッズショップ「ラブピースクラブ」を運営するアジュマ代表。2021年アジュマブックススタート。希望のたね基金理事。デジタル性暴力などの相談窓口NPO法人ぱっぷす副理事長。著書に『日本のフェミニズム』(河出書房新社刊)など多数。

  • 発売イベントも開催予定!

一冊一冊を丁寧に出版していくアジュマブックス。おかげさまで多数のメディアに取り上げていただきました。

これまで『咲ききれなかった花 ハルモニたちの終わらない美術の時間』、『ハヨンガ ハーイ、おこづかいデートしない?』『根のないフェミニズム フェミサイドに立ち向かったメガリアたち』『中絶がわかる本 MY BODY MY CHOICE』について、発売イベントを行ってきました。

本書についても、多彩なゲストを交えた発売記念イベントの開催を予定しております。参加方法はアジュマブックスのサイトやSNSなどでお知らせします。

  • 書籍概要

書名:いいから、あなたの話をしなよ
著者:キム・ソヨン/チェ・ナロ/アン・ヒョンジン/イ・セア/ホン・スンヒ/ハ・イェナ/クク・チヘ/ホン・スンウン/タルリ/チョ・ナムジュ/パラン/チョン=パク・ミギョン/ピョン・ギョンミ/チョ=パク・ソニョン/パク・チア/キム・ヨンラン/チョン・ヒョンギョン/イ・ジノク/パク・ミラ/クォン・ヒョンナン/チェ・ミラン/キム・ミギョン/ファン=オ・グミ/ユ・ジヒョン/コ=ウン・グァンスン/ユ・スギョル
訳者:大島史子
監修:李美淑
解説:北原みのり
判型: 四六判/ソフトカバー
頁数:352
価格:1980円(本体1800円+税)
ISBN:978-4-910276-04-5 C0098
装丁:松田行正
ジャンル:フェミニズム
発売日:2022年5月6日
発行:アジュマブックス
https://www.ajuma-books.com/

※リリース内容は予告なく変更になる場合がございます。予めご了承ください。

2022.04.20