墓の引っ越し
私の父の故郷・済州島(チェジュド)では、親族が11の墓を守っていた。それがすべてバラバラに散っている。
他人のミカン畑の中にある墓もあれば、空き地にポツンと作られている墓もある。「ポルチョ」のときには、そのすべてを回って草を刈る。しかも、かつては手作業だった。大変な重労働である。
そこで、私の母は散らばっている11の墓を1か所に集めた。こうして、父の故郷で大々的な墓の引っ越しが行なわれた。
私も手伝ったが、済州島にいる墓職人がみんな集まったのではないかと思えるほどの作業が行なわれた。こうして、テニスコートが4つくらい作れるような土地に、我が先祖の11の墳墓がきれいに並んだ。
そんな墓の引っ越しを行なった母も、今は墓地の12番目の住人となった。
文=康 熙奉(カン ヒボン)