2人の食事のシーンが面白い
最初から2人は反目する。それは当然かもしれない。友人同士が仲良く同居するのとは訳が違うからだ。
とにかく、キム・シンは自分の胸に刺さっている剣を抜いてくれる「トッケビの花嫁」を見つけなければならない。
一方の死神は、自分の仕事として死んでいく人をしっかりと導いていかなければならない。
そんな2人なのに、まるで学生の共同生活のように何かと小さなことでいがみ合っている。そういった場面は、シリアスなストーリーの中でも、思わず笑いがこぼれるような和やかなシーンになっている。
外に出ると、キム・シンも死神も自分のやるべきことをやらざるを得ないので深刻な表情になるが、家に帰ってくると2人ともリラックスする。
特に2人が食事をするシーンが見モノだ。お互いに離れて座りながら、気に入らないことがあると食器を相手にぶつけたり、わざと食事を邪魔したりする。
そんなイザコザの場面でのコン・ユとイ・ドンウクは、どう演じればこれほど笑いを誘えるのかと思えるほどに面白い。
巧みなサイドストーリー
俳優としていくら意識しても、こんな愉快な雰囲気は簡単に出せるものではない。やはり、2人が持っている相性の良さが絶妙に組み合わさって、漫才のような打ち解けた場ができあがるのだろう。いがみあっているのは事実なのだが……。
『トッケビ』のメインのストーリーは、コン・ユ演じるキム・シンとキム・ゴウンが扮するウンタクが、時空を超えた存在同士としてどのようなラブストーリーを展開していくか、ということ。これが本筋だ。
しかし、傑作になればなるほど、サイドストーリーというものが重要になってくる。そして、物語の前半で見事なサイドストーリーを作っていったのが、キム・シンと死神の奇妙な同居生活だった。
そういう意味でも、コン・ユとイ・ドンウクが2人で演じる余興的な場面が、『トッケビ』をより一層盛り上げて、視聴者をグイッと引きつけていた。
本当に、うまく作られたストーリーだ。それと同時に、コン・ユとイ・ドンウクの演技の力に心から感心してしまう。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
コラム:ヨブル提供
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