「オフィシャルインタビュー」キム・ジェウォン、ドラマ「スキャンダル」 “僕の中に役柄が溶け込む。それくらい役について研究する”

共通 ぺ・ユミ脚本『きらきら光る』×キム・ジンマン監督『エデンの東』
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「スキャンダル」
キム・ジェウォン、オフィシャルインタビュー

 

Q:ハ・ウンジュン役についてどんな人物か紹介してください。
ハ・ウンジュンは…本人の意思で選んだ道ではなくて大人たちの選択によって本来歩むはずだった道とは別の人生を送る人物です。何事もなければ裕福な家庭で育てられ、実の父親に愛情を注がれて成長するはずでした。でもハ・ミョングンという人物によって復讐のために誘拐されてしまうんです。そのせいでハ・ウンジュンは25年間も自分が何者かという問題に苦しむことになります。そしてある事件の捜査をするうちに心から愛し尊敬していた大事な父親が実は自分を誘拐した犯人だと知ります。自分は何者か苦悩する役どころです。そして実の父親であるチャン・テハや育ての父ミョングンそれにファヨンやアミなど周囲の人間と複雑な関わりを持つようになっていきます。実の父を捜し出せば本来は元の生活に戻って幸せに暮らせるはずです。でもウンジュンは実の父を見つけたのに状況が複雑に絡み合って微妙な関係になっているので傷つき苦しみます。だけど人間というのは長い間痛みや苦しみを抱えていると欲を捨てて苦痛を受け入れるようになるものです。だからハ・ウンジュンも自分の痛みや悲しみよりも人の痛みに寄り添うような器の大きい人物なんです。そんな気がしますね。

 

Q:最初にあらすじを読んだときはどんな印象を受けましたか?
素材が独特で魅力的だなと思いました。ドラマの主役というのは男でも女でもカッコよくて美しく見えるでしょう?現代のトレンドを体現した姿ですからね。でもウンジュンは同時に現代の痛みを体現した人物なんです。そういう面にとても魅力を感じました。それに普通は映画でしか見ない誘拐という素材を取り入れてますよね。ドラマで扱うのは難しい素材だと思います。そういう独特なところも気に入りました。ハ・ウンジュンが抱える苦悩…今のような時代を生きているとウンジュン以上に苦しんでいる人もいるんでしょうね。映画をみるために映画館まで足を運ぶ人もいますが、もっと気軽に家でドラマを楽しみたいという人も多いはずです。だからこういう独特なドラマは面白いと思いました。

 

Q:ドラマの中のハ・ウンジュンは刑事です。タフな熱血漢ですよね。役柄とご自身の性格は似ていると思いますか?
様々な面で僕の性格と似てる気がします。でも今は自分でもよく分かりません。俳優としてのこれまでの成長過程を思い返すと、本当に色々な作品に携わり、役を演じてきました。数カ月から1年単位で約について探求し、なりきって生活するんです。そうすると僕の中に役柄が溶け込んでします。それくらい役について研究するんです。半年もその人物のことばかり考えて過ごすと柄が僕自身と混ざってしまいます。だから今ではハ・ウンジュンの性格を僕自身の性格と分けて考えるのが難しいんです。

 

Q:このドラマの設定は独特で、今までジェウォンさんが出演した作品の中でも、最も衝撃的な設定かもしれません。あらすじを知った時、抵抗は感じませんでしたか?
それはありません。俳優ですから。僕たちにできることは色々な作品を通して、視聴者や観客に演技を見てもらうことです。そして作品を見た人に、日常のつらさや楽しさなどを伝えます。いわゆる喜怒哀楽というものを、サービスとして提供するのが俳優の仕事です。だから見てくれる人に喜んでもらえれば、俳優として他のことは特に気にしません。

 

Q:ハ・ウンジュンには2人の父親がいます。チェ・ジェヒョンさんとパク・サンミンさんについて、お二人の違いや共演した印象を教えてください。
チェ・ジェヒョン先輩は俳優として、非の打ちどころのない顔だと思います。深みのある目元ですし、鼻筋の通った完璧な鼻の形です。それから普段は見えないけど、笑うとできるシワもある。俳優として、あのシワはすごくいいですね。表情を豊かにしていると思います。チョ先輩は数多くの舞台や映画に出演してきて、一定のジャンルにとらわれない活動をしています。様々な作品に出演してきた分、言い尽くせない深みがあります。何と言い手も一番の長所は自然な演技です。チョ先輩と僕が好きな演技のスタイルというのは、役柄か本人の素の状態か分からない演技です。
俳優は舞台や映画で誰かを演じる時、役柄を設定して作り上げてから表現しますよね。そうすると素なのか演技なのか見分けがつかなくなる。ある芝居を見て「いい芝居だったね」とか「うまく演じてた」と言われるのとは少し違います。先輩の素かミョングンなのか見分けがつかない演技なんです。実に自然です。チョ先輩はドキュメンタリーが好きなんです。僕も好きでよく見ますが、ドキュメンタリーというのは何の設定もなく自然に動いてる。出演者の実生活を撮っているので、あれは演技とは違いますよね。生活そのものを撮影してる。設定があって演じてるわけじゃありません。それと同様に芝居か素か区別できない演技。それがチョ先輩が持つ、特別な強みです。後輩の僕から見た、チョ先輩のすばらしい点だと思います。
パク・サンミン先輩はとても頭のいい方です。賢いですね。一歩間違えば、先輩の役柄はドラマの中で浮いてしまうところでした。なぜならドラマは舞台や映画とは少し事情が違うからです。ドラマは扱うことができるテーマに限界があるんです。とっぴな設定のアクションは描けません。それに週末に放送するドラマなので、人の生き様を描いた、身近で現実的な物語なんです。だから不自然で異質な人物がいると、一人だけ目立ってしまいます。ドラマになじみません。浮いてしまうんです。チャン・テハというのは人物設定を誤ると演じるのが難しい役です。でもパク先輩は俳優のキャリアが長いので、過去の積み重ねがあります。主役や脇役、端役を問わず出演してきました。だから演技の幅が広いんです。どんな役柄であっても線引きをせずに、いい役だと思ったら引き受けた。だから過去の積み重ねがたくさんあります。それでチャン・テハの設定も自然に見えたんだと思います。パク・サンミンという俳優は実年齢ではまだ40代前半なんです。それで60代前半の人物であるチャン・テハ役を演じるのは至難の業です。20歳の差を演技で埋めるんですから。パク・サンミンのままでは演じられません。20歳の差を埋めるには、色んな設定が必要になります。歩き方に表情、そしてセリフ回し。それをパク先輩は自然に演じてました。見る人に違和感を与えない見事な役作りだったと思います。そしてドラマの中で圧倒的な悪役として、大きな役割を果たしていました。この二人の先輩の姿を見ていると、演技へのあふれる情熱と愛を感じました。

 

Q:同年代の俳優陣にはどんな印象を持ちましたか?
チュ・ユニさん以外にも、キ・テヨンさんやハングルさん、キム・ギュリさんもいます。だいたい僕と同じ年頃のいわゆる“新世代”の俳優です。共演してみて、いい俳優が多いなと思いました。誰が一番と言えないくらい、皆そろって人柄がいいんです。演技力もあります。僕の相手役を演じているチョ・ユニさんに関して言えば、振り回されてとても苦労したと思います。周りが皆強気な人たちで… 現場は気が強い人たちの集まりでした。というのも今回のドラマ「スキャンダル」は、とても情熱的で活気に満ちた撮影現場だったんです。だからもしミスをしたり、流れを止めたりすると、周りから自然と非難の声が上がるんです。先輩方をはじめ誰もが没頭して演じていましたからね。少しでも気を緩めると大変なことになります。その中でもめげずに彼女はやり遂げていました。頑張ってくれたユニさんには感謝しています。大変なことも色々とありましたが、いつも明るい人でした。スタッフのこともよく気遣っていました。彼女が最後まで緊張感を持って演じる姿を見て、“楽しみだな”と。俳優の道は長い道のりなんです。どれだけの経験を積んできたかによって、表現の豊かさが決まります。チョ・ユニという女優は、「スキャンダル」を経て新たな経験を積みました。だから今後彼女が出演する作品には、とても興味がありますし、注目していきたいですね。

 

Q:ハ・ウンジュンという役は、二人の父親がいて複雑な背景を持った人物です。ウンジュンはこの葛藤をどう受け止めたと思いますか?
幼少期のハ・ウンジュンは、学校に行きたくても行かせてもらえません。ウンジュンとスヨンは兄妹のはずなのに、自分と妹に対する父親の態度がまるで違うんです。近寄っても父親に無視される。そんな時期があります。住民登録証の発行でも、自分はハ・ウンジュンのはずなのに、別の名前になってるんです。それで自分が何者なのか混乱するようになって、父親に事情を聞きたくてたまらない。「父さん、気になってることを聞いても?」「気になってもそのままにしておけ」「わかった」、と。なぜなら、聞いてしまったら全てを失いそうで怖いんです。察しはついているけど、無理に聞き出せば、自分の存在が消えそうな気がして。でもあとになって実の父の存在を知り、育ての父を憎むようになる。そして悪事を重ねている実父のテハにも憎悪を抱きます。だから両方の父親に対して、最初に抱いたのは憎しみの感情だと思います。「なぜ父さんは僕をそんな目に遭わせた」「なぜ悪事を働いたんだ?」と。二人の父親には愛も包容力もない。世間で普通に考えられてる父親らしさが、どちらの父親にもないんです。でも憎む一方で、25年間も自分のことを育ててくれた人ですから、父親への情もあります。それにテハについても、悪い奴だけど息子のことを深く愛している父親捨をてられません。肉親は突き放せないんです。困難な状況に陥り、悲しくて苦しい思いをすると、誰もが“どうしたらいいんだ”と嘆きますよね。でもため息をついても解決しません。すでに困った状況に陥ってるんですから、徹底して客観的な視点を持たないと。第三者の視線で物事を把握できれば、誘拐せざるを得なかった父親の事情も理解できるだろうし、「つらい状況でも、僕を愛し育ててくれたんだ」と思えます。すると父親を愛せる。テハにもひっ迫した状況や、妻との葛藤があります。それに彼が住む弱肉強食の世界では、生き抜くためには他の人を踏みつけるしかない。だからあんな性格になる。テハは血のつながりへの執着が強いんですが、別居中の妻が息子を5歳まで育てていました。それがそもそもの間違いだったんです。だからテハという人物は息子の存在に感激します。息子のためならすべてを捧げてもいい。大統領にしてやろうとさえ思うんです。息子に対する思い入れが強い。息子もそんな父親に愛情を感じている。実はハ・ウンジュンは父親を愛してやまない人物なんです。父親として捉えるだけでなく、テハとミョングンを男として客観的に見れば、それぞれ息子への愛情があり、事情を抱えている。ウンジュンはそれを認めるんです。

 

Q:ジェウォンさんの笑顔は日本のファンの間でも”キラースマイル”と呼ばれてますが、このドラマではあまり笑いませんでした。その代わり、目の演技が話題になって大好評でしたね。率直な感想は?
僕は演技するにあたって、言葉よりも動きが大事だと思ってます。新密度が増し、相手に対する愛情や切なさが生まれれば、何も言わなくても目つきだけで心が通じるでしょうし、考えていることが分かる。だから目でいい演技をすると、セリフがよく伝わるんです。もちろん言葉で表現することも大事です。話せば声が聞こえますからね。でもドラマの中のすごく悲しいシーンなどで…例えば育ての親はがんでもうすぐ死んでしまう。そんな父親を思って胸を痛めているというのは、どれだけ言葉を並べても表せません。“父親はすい臓がんでこんな病状だ”と、あれこれセリフで説明するより、父親を見つめる目に絶望的な切なさや痛みを込めたほうがいい。哀れみや悲しさをたたえた目つきだけで、内に秘めた感情をすべて表現できるんです。だからこそ目の演技はとても重要だと思います。ハ・ウンジュンという人物は、周囲の人から疎外されていると感じています。そうすると口数が減っていきます。気になることがあっても我慢して聞かない。家を追い出されたくないからおとなしくするんです。すると行動も次第に大人びる。口数もだんだん減って笑顔も消えていくんです。だから“キラースマイル”とハ・ウンジュンの人物像は、マッチしないんですよ。妹のスヨンには母親のように接して見守り、父親のことは補佐して支えつつ、嫌われるのが心配で笑顔を控えている。だからいつも表情や話し方が中立的で、100の言葉の代わりにひと言だけ口にするんです。

 

Q:ハ・ウンジュンは幸せになれると思いますか?
これはよく引用される話だと思うんですが、コップに水が半分入ってるのを見て、「これだけしかない」と思う人もいれば、「まだこんなにある」と捉える人もいます。それと同じで、皆さんの見方次第だと思います。「ついに幸せをつかんだ」と思う人もいるでしょう。これで彼は新しい人生を歩んでいける、と。でも別の人の目には「なんてことだ。まだあんなに苦しんでる」と。最後まで彼が悲しんでいるように映るかもしれません。その判断はご覧になる皆さんにお任せします。

 

Q:日本のファンにひと言お願いします。
日本のファンの皆さん、ドラマ「スキャンダル」に関心を持っていただきありがとうございます。また、一部の方は、暑い夏も肌寒い秋にも撮影現場まで駆けつけて、撮影陣を元気づけてくれてありがとうございました。スタッフや他の俳優によく言われるんです。「お前のファンに救われた」と。いつもファンの皆さんには本当に感謝しています。「スキャンダル」をぜひ最後まで楽しんでご覧ください。それと、健康でないとドラマも楽しめませんので、皆さんお体を大事にして、ステキな毎日を送ってください。愛しています!

ぺ・ユミ脚本『きらきら光る』×キム・ジンマン監督『エデンの東』
最高の布陣で贈る、キム・ジェウォン最新作!!
「スキャンダル」
2015年4月2日よりレンタル開始
2015年4月15日DVD-BOX1発売

 

1988年、オリンピック開催を目前に都市開発が進むソウル。テハ建設のチャン・テハ会長(パク・サンミン)は、建設ラッシュに乗り、強引なやり方で事業拡大を進めていた。そんな中、テハ建設が施工するビルが崩壊。その事故で幼い息子を失った刑事ハ・ミョングン(チョ・ジェヒョン)は、事故の原因がテハ建設による手抜き工事にあり、テハがそれを隠蔽したと知り、怒りに震える。そして、息子の復讐を心に誓いテハの自宅に向かったミョングンは、偶然門の前に出てきたテハの息子チャン・ウンジュンを衝動的に連れ去ってしまう。数年後、ファヨンはテハの愛人ジュラン(キム・ヘリ)に対抗するため、養護施設から記憶喪失の男の子を引き取り、ウンジュンが見つかったとテハのもとに連れてくる。そして、25年後。ミョングンが誘拐したテハの息子は、ミョングンの息子ハ・ウンジュン(キム・ジェウォン)として育ち、父と妹とともに暮らしていた。一方、ファヨンが連れてきた偽のチャン・ウンジュン(キ・テヨン)は、父テハの愛情を受け、弁護士となっていた。そんなある日、テハ建設が施工するマンションで社員が墜落死する。事件を調べていたハ・ウンジュンは他殺を疑い、テハ建設の顧問弁護士であるチャン・ウンジュンと出会うことに…。(全36話)

 

愛する父さんは”誘拐犯”だった―――
キム・ジェウォン「私の心が聞こえる?」 、チョ・ユニ「棚ぼたのあなた」 、キ・テヨン「ロイヤルファミリー」他、切なさで心が震える究極のカタルシス。2015年4月2日 DVDレンタル開始!

 

【キャスト】
キム・ジェウォン 「メイクイーン」「私の心が聞こえる?」(ハ・ウンジュン役)
チョ・ユニ 「ナイン〜9回の時間旅行〜」「棚ぼたのあなた」(オ・アミ役)
キ・テヨン 「ロイヤルファミリー」「済衆院 チェジュンウォン」(チャン・ウンジュン役)
チョ・ジェヒョン 「シンドローム」「階伯[ケベク]」(ハ・ミョングン役)
パク・サンミン 「お金の化身」「武神」「ジャイアント」(チャン・テハ役)
シン・ウンギョン 「隣人の妻」「不良カップル」(ユン・ファヨン役)
2013年/韓国/全36話/
【演出】キム・ジンマン『エデンの東』
【脚本】ペ・ユミ『きらきら光る』

 

『スキャンダル』
【セル】
DVD-BOX 1 2015年4月15日発売 ¥22,800(本体)+税 / PCBG.61612
DVD-BOX 2 2015年5月20日発売 ¥22,800(本体)+税 / PCBG.61613
DVD-BOX 3 2015年6月17日発売 ¥22,800(本体)+税 / PCBG.61614
【レンタル】‐全18巻‐
4月2日 第1巻~第6巻
5月2日 第7巻~第12巻
6月2日 第13巻~第18巻 順次レンタル開始
【発売元】フジテレビジョン/ポニーキャニオン
【販売元】ポニーキャニオン
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2015.03.27