2014年11月に韓国で公開され驚異の480万人を動員、幅広い世代から共感を呼び社会現象にもなった小さなドキュメンタリー映画「あなた、その川を渡らないで」が、7月30日(土)より日本でついに公開決定。映画の公開を記念して、7月6日(水)東京・早稲田大学 小野記念講堂にて試写会が行われ、早稲田大学国際教養学部教授(政治学・恋愛学・結婚学・不倫学) 森川友義氏による「映画から学ぶ幸せな結婚を続けるための5つの秘訣」と題した特別講義が開催された。
映画は、美しい小さな村の川のほとりで、仲睦まじく暮らす結婚76年目の夫婦の愛情あふれる丁寧な毎日の記録を撮ったドキュメンタリー。悲しみは半分に、喜びは何倍にも…
寄り添い、懸命に生きてきた夫婦の生き方が人生のお手本になる、あたたかい涙なしにはみられない大切なことがつまった感動作!韓国で公開され、その感動が口コミで広がり、若者からお年寄りまで、韓国で10人に1人が観たこととなり、その勢いは国内にとどまらず世界中の映画祭で上映され、多くの観客賞を受賞した。
この映画の日本での公開決定を記念し行われた早稲田大学試写会イベントには、日本人、韓国人の学生、社会人が集まり、映画を鑑賞した後、早稲田大学教授である森川氏と共に、幸せな結婚を続けるための秘訣について学んだ。
森川氏によると、恋愛、結婚、不倫というものを考えると、幸せな結婚を続けるための5つの秘訣があるようだ。
一つ目は、「恋愛、結婚、結婚生活のメカニズムを知っておくと夫婦生活がよく分かる」
幸せな結婚の“幸せ(幸福感)”は基本的に消費財であり、幸せ度は使えば段々下がっていくものである。
全ての結婚には出会いがあり、いいなと思い好きになると、ときめきを感じ付き合いはじめる。そして、恋愛バブルとよばれる“この人が大好きだ、この人が居ないと生きていけない”という感情が生じる。ただし、この感情はピークに達したあと、ときめき感はおおよそ2年くらい継続するが、その後プロポーズをしたいと思うところまで持たないことがある。
ときめき感とは体に悪く、マラソンをずっと走っているのと同じようなものであり、普通は走り続けることができないことと同じ原理で、お互いがいいなと感じプロポーズを受け入れられる期間は短い(2年くらい)と考えられるようだ。そして結婚をすると、ときめき感は愛着に変わり、さらには飽きてしまいお互いを空気のような存在に変わり、さらに嫌いという感情に変わると離婚に至ってしまうというメカニズムだ。日本の夫婦は、100組中35組が離婚をし、残った65組のうち45組がセックスレスというデータもあり、この映画の夫婦のように年をとってもスキンシップをとって結婚生活を続けるということは難しいことであると解説した。
結婚生活を続けることが難しい原因として考えられるのは、日本の平均初婚年齢が男性31歳、女性30歳で、平均寿命が80歳ということを考えると、50年以上夫婦としてスキンシップをとらなければならず、この映画の夫婦のように76年間お互いにスキンシップをとりあって生きていくのは非常にまれであるということが言えるという。
このことから、夫婦間をいかに満足して継続させることができるか、二つ目の秘訣は、相手への「期待値」を下げるということが大切である。恋愛バブルの時は、相手に対して色々尽くすと期待値をあげてしまうが、相手へ尽くすことがだんだん減ると期待値が下がってしまい、夫婦関係を悪い方へ導いてしまう要因であるため、相手へ期待をしないということがポイントであるという。
夫婦間のコミュニケーションを減点方式から加点方式へ変え、毎朝「期待値」をリセットすると夫婦関係はうまくいくと語った。
三つめの秘訣は、「子」はかすがいであるということだ。映画の中では、12人の子供を産み、6人が亡くなってしまったが、残りの6人に最期をみとってもらえるという喜びもある。
最近の女性には、仕事と結婚という人もいるが、「子」を持つ幸せを考えてほしいと語った。これからの時代、仕事もして子供を持つという姿が新しい形であり、女の人も仕事をし、男の人は女性が仕事をする環境を支えてあげることで良い夫婦関係が築けると語った。
四つめの秘訣は、飽きないものをつくること。
限界効用逓減の法則が当てはまる消費財(幸せ、地位、みかけなど)をあきないものにしていくということも大切であるということだ。
この映画の中でも、妻が季節の食材を使った料理をつくることで飽きさせないようにすることが良い夫婦関係が築かれていた。
五つ目は、不倫をしないこと。
現状は不倫をしているのは、男性は二人に一人、女性は七人に一人がという状況で、未婚者が多く、その内訳も10代が多いという状況だ。結婚は、浮気の歯止めになっていると語った。
最後に、結婚生活には、いろいろと障害がでてきて幸せな結婚を続けるためには努力が必要であり、それが参考になる映画であると思います、と語られ若者たちが結婚について考える良い機会となった。
取材Korepo(KOREAREPORT INC)
◆「あなた、その川を渡らないで」
7月30日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
©2014 ARGUS FILM ALL RIGHTS RESERVED.
配給:アンプラグド
公式サイト http://anata-river.com/