『宮廷女官 チャングムの誓い』や『トンイ』『イ・サン』など、数々の韓国時代劇で大ヒットを続ける巨匠イ・ビョンフン監督。同監督の最新時代劇『獄中花』の韓国放送が始まり、序盤から高い人気を集めている。今回はその人気の秘密に迫る。
序盤を成功に導いた3つのポイント
4月30日、韓国MBCでイ・ビョンフン監督最新作『獄中花』が放送開始した。
本作は、獄中で生まれた天才少女オンニョ(チン・セヨン)と、商団に所属するミステリアスな人物ユン・テウォン(コ・ス)を中心とした本格時代劇。軽快に進むシナリオと、俳優たちの熱演も相まって、初回放送から17.3%と非常に高い視聴率を獲得した。
放送初回からこれだけ高い支持を集めたのには3つの理由がある。
まず、「イ・ビョンフン監督の作品」だということ。
イ・ビョンフン監督の作品に共通するのは、「どんな困難を前にしても諦めずに努力する主人公のサクセスストーリー」と明確なハッピーエンドだ。呆れるほどの王道作品なのだが、それだけに大きな外れがない。どの作品を見ても「イ・ビョンフン監督なら大丈夫」という気持ちにさせてくれるのはさすがだ。
続いて、同時間帯前番組『結婚契約』の好調を引き継いだこと。
『結婚契約』は、この世の価値は金と考える男と、人生のどん底に陥った女性の恋を描いた。人気俳優イ・ソジンとAfter Schoolのユイが送るどこか切ないラブストーリー。初回から17%を超える視聴率を獲得して、最終回も22.4%の高い記録を残した。
『獄中花』の第1話は、『結婚契約』視聴者が継続して見ていた可能性が高く、ドラマ人気にとって大きな追い風になったことは間違いない。
最後は、主要キャストの豪華さだ。
ヒロインのオンニョ役には、『ドクター異邦人』で抜群の演技力を見せたチン・セヨンが扮して、男性主人公ユン・テウォン役には 『クリスマスに雪は 降るの?』のコ・ス がキャスティングされたのも大きい。特に、コ・スは最近では映画をメインに活動していて、ドラマ出演は『黄金の帝国』以来3年ぶりになる。その他にも、キム・ミスク、チョン・ジュノ、チョン・グァンリョルなど、実力派俳優たちの多くキャスティングされている。
監督・前番組・豪華キャスティング。
すべてが『獄中花』のスタートダッシュに大きく貢献したのだ。
イ・ビョンフン監督作品には”イ・ビョンフンファミリー”と呼ばれる常連俳優たちが存在する。
スピーディーな展開に目が奪われる?
前ページで『獄中花』序盤成功のポイントを分析してみたが、それはあくまでも初回に限った話。初回だけ視聴率が高く、以降はドンドンと下がる作品も珍しくない。
しかし、『獄中花』はそうした下馬評を覆して、第2回には20%の視聴率を記録している。
イ・ビョンフン監督の前作『馬医』が第30話でようやく20%を超えたのを考えると、格段に速いペース。この時点で大ヒットを予感させる。
第2話でこれだけの数字を叩き出せたのは当然、第1話の面白さが群を抜いていたからだ。
第1話では、朝鮮時代に囚人を管理する部署である典獄署(チョンオクソ)で生を受けたオンニョが成長して、典獄署で働くまでが描かれている。物語の面白さや登場キャラクターの多様性など見るべきものが非常に多いのだ。
特に、たった1話の間で誕生から15年分の時間を一気に消化したスピーディーな展開は、最近の時代劇の中でも異例の速さ。そうした部分も視聴者の目を引く結果につながった。
イ・ビョンフン監督の作品といえば、これまでも多くが日本で放送されている。序盤からハイスピードで駆け抜ける本作も、いずれ日本で放送されるのは間違いないだろう。今からチェックしておくべきだ。
文=ロコレ編集部
コラム提供:ロコレ
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