【MUSIC NOW+】「BTS」の舞台裏からソン・ガン×イ・ジュニョンのピアノ対決まで…秋にハマる「見る音楽」

秋は「ブラームスの季節」だ。

風の温度が少しずつ変わり始める頃になると、音楽界では決まってブラームスが恋しくなる。季節の変わり目には、まるで約束でもしたかのように、どこか寂しく孤独な旋律を探してしまうものだ。

でも、ブラームスの哀愁だけに浸っているには、音楽の世界はあまりにも色鮮やかで、まぶしい。

白と黒のピアノの鍵盤の上では、青春を駆け抜ける若者たちの荒い息遣いがぶつかり合う。炎のように燃え上がったロックスターの波乱に満ちた人生もあれば、世界的ポップスターがスポットライトを降りた後に見せる素顔もある。

21世紀のスーパースターが華やかなステージの裏側で何を考えているのか。それが気になるなら、バックステージを追ったドキュメンタリーをのぞいてみればいい。

時代を揺るがした“不朽の名曲”が生まれた瞬間の空気に触れたいなら、伝説的な巨匠のミキシングコンソールの隣に、そっと座ってみよう。

今や、そんな体験のすべてがOTTの中にある。

音楽は「聴く」だけじゃない。

そこで今回は、その日の気分に合わせて楽しめる“見る音楽”を、4つの「処方箋」として紹介する。ピアノに胸を高鳴らせたい夜も、少しセンチメンタルな夜も、アーティストの素顔をのぞいてみたい夜も――。今の自分にぴったりの1本を見つけてみよう。

■処方箋1 ピアノを見るだけで胸が高鳴るなら→激しく、まぶしい“クラシック沼”へ

芸術高校の練習室。張り詰めた空気に包まれたコンクール。そして、互いの背中を追いながら全力で走る2人の天才ピアニスト。

クラシックの知識がまったくなくても大丈夫。熱を帯びた青春の成長物語を前にすれば、気付けばこちらまで息を詰めて鍵盤を見つめている。

【服用コンテンツ】tvN「フォーハンズ ~2人のソナタ~」

【効能】

「フォーハンズ(Four Hands)」とは、1台のピアノを2人、4本の手で演奏する連弾のこと。

1人で鍵盤を支配する独奏とは違う。相手の呼吸や動きまで読み取らなければならない。

わずかな息遣いにも神経を研ぎ澄まし、鍵盤の上で手がぶつからないよう瞬時に動きを変える。時には、自分が1音分だけ引くことで、初めて1つの完璧なハーモニーが生まれる。

音楽を巡ってライバル心をむき出しにしていた2人の若者が、やがて互いに鍵盤のスペースを譲り、1つの曲を完成させていく。

競争することに疲れた人ほど、その姿に胸をつかまれるかもしれない。

鍵盤をたたく指先のかすかな震えを追っているうちに、慌ただしい日常で凝り固まった心にも、少しずつ新鮮な空気が入り込んでくる。

そして何より、ソン・ガンとイ・ジュニョンという2人のピアニストが、目と耳を同時に楽しませてくれるのも大きな“効能”だ。

【服用のコツ】

この作品を見るなら、ぜひ“音の解像度”を上げてみたい。

字幕や登場人物のセリフだけを追うのではなく、その肩越しに流れている音楽にも耳を澄ませてみよう。

特に2人の手が交差する瞬間に流れるショパンやラフマニノフの旋律が気になったら、そのまま音楽配信サービスで検索してみる。

ドラマを見終えたはずなのに、物語は自分だけのクラシックプレイリストの中でまだ続いている――。

そんな余韻まで味わえる作品だ。

■処方箋2 秋の夜、ちょっとセンチメンタルになったら→心の速度を落とす“ブラームスを1杯”

にぎやかな時間が終わり、辺りが静かになった夜。

追い立てられるように過ごしてきた日常から一歩離れ、自分の中にある寂しさや満たされなさと静かに向き合いたくなったら、こんな処方箋がちょうどいい。

【服用コンテンツ】「ブラームスは好きですか?」

【効能】

29歳という人生の境目に立つクラシック音楽家たち。その揺れる夢と恋、才能の限界、そして劣等感の重さを静かな視線で描く。

ロベルト・シューマンとクララ・シューマン、そして2人のそばに生涯寄り添い、音楽的な献身を続けたブラームス。

複雑に絡み合った3人の関係は、劇中のチェ・ソンア(パク・ウンビン)とパク・ジュニョン(キム・ミンジェ)のすれ違う視線に、鏡のように重なっていく。

作品タイトルは、フランソワーズ・サガンの小説「ブラームスはお好き」とも重なる。Netflixで見返すことができるのも、秋の夜にはうれしい。

この作品の本当の魅力は、「Andante(アンダンテ=歩くような速さで)」のテンポにある。

答えを急がない。

登場人物のためらい、沈黙、言葉と言葉の間に残された迷いを、カメラはじっと見つめ続ける。

刺激の強い物語に疲れた夜には、それくらいの速度がちょうどいい。

秋風で少し冷えた心に、ぬるめのお湯のようにじんわり染み込んでくる作品だ。

【服用のコツ】

深夜、部屋の明かりを少し落とし、まずはブラームスのピアノ曲「間奏曲(Intermezzo)Op.118-2」を静かな音量で聴いてから第1話をスタート。

温かいお茶を1杯用意して、登場人物たちの寂しげなまなざしを追ってみよう。

いつの間にか秋の孤独が、ただの寂しさではなく、人生を静かに生き抜くための力に変わっているかもしれない。

【代替処方】「のだめカンタービレ」

クラシックの奥深さには触れたい。でも、しっとり沈み込むのはちょっと重い。

そんな人には、迷わず「のだめカンタービレ」。

変わり者の天才ピアニスト・のだめと、完璧主義の指揮者・千秋が巻き起こす騒動は、「クラシック=難しくて堅い」というイメージを気持ちいいほど壊してくれる。

ブラームスがほろ苦いエスプレッソなら、「のだめ」は疲れた心を一気に目覚めさせる甘いチョコレートだ。

■処方箋3 スーパースターがステージを降りたら?→「BTS」の“バックステージパス”

まばゆい照明が消え、数万人の歓声が遠ざかった後、スーパースターはどんな顔で何もない空間を見つめるのだろう。

頂点に立ったアーティストが再び真っ白な紙の前に座り、「最初の1音」を生み出すことに迷う瞬間。

それは時として、どんなフィクションよりもドラマチックだ。

【服用コンテンツ】Netflixドキュメンタリー「BTS: THE RETURN」

【効能】

米ロサンゼルス(LA)に再び集まった「BTS」が、5thフルアルバム「ARIRANG」を準備する中で経験した創作の苦悩と、飾らない感情を追ったドキュメンタリー。

そこにいるのは、スポットライトを浴びる“世界的スーパースター”だけではない。

不確かさや恐怖を抱え、迷い、時には互いを支えながら、再び7人で1つのハーモニーを探していく姿がある。

1枚のアルバムを完成させるということは、ただ曲を作り、レコーディングすることではない。

人と人とが互いの尖った部分を少しずつ削り、ぶつかりながら形を合わせていく。

音楽を作ることは、実は途方もなく人間くさい“連帯の作業”なのだと、この作品は静かに見せてくれる。

【服用のコツ】

ここでは一度、ファンとしての視点をほんの少し横に置いてみたい。

注目するのは、「1曲のメロディーが世の中に出るまで、どれほどの迷いと労力が積み重なっているのか」ということ。

数え切れないほどの悩みや葛藤を経て世に送り出された「ARIRANG」。

発売から約6か月がたった今、完成したアルバムから制作過程へと時間を巻き戻してみると、すでに何度も聴いた曲まで違って聞こえてくるかもしれない。

華やかなステージを見るための“表口”ではなく、音楽が生まれる場所へ続く“裏口”。

そんなバックステージパスを手にした気分で楽しみたい。

【代替処方】「マエストロ:その音楽と愛と」

クラシック音楽家の人生をのぞいてみたいなら、レナード・バーンスタイン(Leonard Bernstein)へ視線を移してみよう。

指揮者であり、作曲家でもあったバーンスタイン。

その音楽と愛、そして人間としての弱さが、壮大な交響曲のように胸へ迫ってくる。

■処方箋4 「この名曲、いったいどうやって作ったの?」→耳でのぞく“音楽解剖室”

何度も聴いてきたはずの曲なのに、ある瞬間、ベース、ドラム、声、旋律が一つ一つ別々に聞こえてくる。

「この音、こんなところに入っていたの?」

そんな発見をした瞬間、音楽への「好き」は、もう一段深い知的な驚きへと変わっていく。

【服用コンテンツ】Disney+「マッカートニー 3,2,1」

【効能】

ポップミュージックの歴史そのものともいえるポール・マッカートニーと、伝説的プロデューサーのリック・ルービンが、モノクロの空間で向き合う。

「The Beatles」時代のマスターテープをミキシングコンソールに載せ、ベースラインやドラムのビートを一つずつ取り出して聴いていく。

すると、半世紀にわたって世界中で聴かれてきたおなじみのメロディーが、目の前で魔法のようにバラバラになり、そして再び組み上がっていく。

ジョン・レノンとの間に生まれた音楽的な火花。偶然が生み出した鮮やかな不協和音。

その秘密を本人の言葉で聞く体験は、まるで耳に精密な顕微鏡を取り付けたようだ。

「この曲なら知っている」。

そう思っていた名曲ほど、実はまだ知らない音が隠れている。

【服用のコツ】

全6話を一気に“飲み干す”必要はない。

自分が最も好きな「The Beatles」の名曲が登場するエピソードから、1つずつ選んで大切に味わってみよう。

ドラマでクラシックに胸を焦がし、「BTS」の舞台裏で音楽が生まれる苦悩を知り、最後は「The Beatles」の名曲を1音ずつ解剖する。

今夜の気分に効きそうな1本を選ぶ。

秋の“音楽処方箋”は、それくらい自由に服用するのがちょうどいい。

 

WOW!Korea提供

2026.09.25