
ヨンマサン(龍馬山)、アチャサン(峨嵯山)、マンウサン(忘憂山)に囲まれたキョンギド(京畿道)クリ(九里)市のアチウル村は、小説家の故パク・ワンソ、画家のイ・ソンジャ、版画家のチェ・ジスクら芸術家が居を構えたことで、“芸術家の村”として知られるようになった。
閑静な住環境、ソウルへの優れたアクセス、徹底したプライバシー保護も相まって、近年では有名芸能人が集まる超高級住宅街へと変貌を遂げている。
その中心にあるのが、「ウォーカーヒル・ポドビル(WALKERHILL PODOVILLE)」だ。高級ヴィラと戸建て住宅の長所を組み合わせた同物件には、わずか7世帯しか入居していない。
ヒョンビン夫妻が新婚生活を送り、オ・ヨンソらも購入した「ウォーカーヒル・ポドビル」は、どのようにしてアチウル村を代表する高級住宅となったのだろうか。
■わずか7世帯…2年ごとに内装リフォーム、空港へはベンツ・スプリンターも
キョンギド(京畿道)クリ(九里)市アチョン(峨川)洞に位置する「ウォーカーヒル・ポドビル」は、2019年5月に完成した地下1階、地上4階建ての高級ヴィラだ。プランイット建設が「ハンナム・ポドビル」に続いて、2番目に手掛けた物件でもある。
専有面積は179.33~242.45平方メートル。全7世帯で、1~3階には各2世帯、4階にはペントハウス1世帯がある。管理費は約80万~100万ウォン(約9万2000~11万5000円)で、容積率と建ぺい率はそれぞれ140.23%、48.22%だ。
駐車可能台数は計21台で、1世帯につき3台まで利用できる。このうち、フロア全体を単独で使用できるペントハウスには、約140坪規模の大型ルーフトップガーデンがあり、圧倒的な快適さを誇る。
「当初は価格が高すぎて、分譲は難しいのではないかという声も上がりましたが、完売しました。『ウォーカーヒル・ポドビル』の成功が、アチウル村を高級住宅街へと変える出発点になったのです」
同物件では、2年ごとに各住戸の内装リフォームが提供され、室内の雰囲気を一新できる。屋外バーベキュー場やグランピング施設なども備えている。
さらに、入居者の利便性を高めるため、メルセデス・ベンツのスプリンターを利用した送迎やデリバリーサービスも提供される。
数十種類もの華やかな共用施設をそろえるのではなく、ゆとりある暮らしを送れる空間とサービスを提供している点が、ほかの高級住宅との違いだ。
世帯数が極めて少ないため、敷地内への部外者の立ち入りは厳しく制限され、独立性とプライバシーが徹底的に守られている。
ダンススポーツ選手のパク・ジウとインフルエンサーのリュ・ジウォン夫妻は、あるYouTubeチャンネルで「ウォーカーヒル・ポドビル」の長所について、「世帯数が少ないうえに、動線が徹底して分けられているので、プライベートなバーベキューパーティーなどを楽しめる」と説明した。
さらに、「食事後の片付けまでしてくださるので、手ぶらで来て食べて帰るだけでよく、便利だ」と語った。
■ヒョンビン夫妻が新婚生活を送ったペントハウス…オ・ヨンソ、パク・ジウ夫妻、キム・ミンジェも
わずか7世帯だが、同物件に居住している、または所有している人物の顔触れは華やかだ。
俳優ヒョンビンは2020年、4階のペントハウスを48億ウォン(約5億5000万円)で、融資を受けず全額現金で購入した。
ヒョンビンは2022年に女優ソン・イェジンと結婚後、夫妻は同物件で新婚生活を始めたと伝えられた。現在、この住宅は70億ウォン(約8億300万円)で売りに出されている。
ただし、ある業界関係者によると、ヒョンビンは現在、同物件には居住していないという。
最年少の所有者は女優オ・ヨンソだ。オ・ヨンソも2020年、同物件の1戸を26億5000万ウォン(約3億400万円)で分譲購入した。
オ・ヨンソも別途、根抵当権を設定していないため、融資を受けず全額現金で購入したものとみられる。
オ・ヨンソが居住しているテラスタイプは、中層階を基準に現在37億~38億ウォン(約4億2400万~4億3600万円)で売りに出されている。
パク・ジウ、リュ・ジウォン夫妻も同物件を25億8000万ウォン(約2億9600万円)で購入し、現在まで居住している。
サッカー選手のキム・ミンジェは2024年6月、保証金25億ウォン(約2億8700万円)でチョンセ契約を結んだ。チョンセとは、まとまった保証金を家主に預け、月々の家賃を支払わずに住宅を借りる韓国独自の賃貸制度だ。
ただし、キム・ミンジェは最近、裁判所に同住戸の任意競売を申し立てたことが確認された。チョンセ契約の終了後も家主から保証金を返還されなかったため、競売手続きに踏み切ったものとみられる。
世帯数が少ないこともあり、直近の売買は2022年12月に行われた。
同物件を仲介する関係者B氏は、「きょうも、ソウル近郊で静かに、ぜいたくに暮らしたいという入居希望者が、賃貸について問い合わせるため訪れた」と明かした。
続けて、「ほかの高級住宅街よりも、さらに静かな暮らしを求める方が訪れるため、需要層は極めて限られている。それでも問い合わせが途切れることはない」と語った。
■高級住宅街アチウル村の先駆け「ウォーカーヒル・ポドビル」…近隣にはハン・ソヒや「TWICE」モモも
不動産関係者は「ウォーカーヒル・ポドビル」について、「アチウル村を富裕層の街へと導いた象徴」と評価している。
「ウォーカーヒル・ポドビル」が建設される前のアチウル村は、戸建て住宅が中心だった。
2006年に開発制限区域が解除されて以降、インフラが整備され、周辺の雰囲気は変化したものの、現在のように高級共同住宅が立ち並ぶ姿とは異なっていた。
「ウォーカーヒル・ポドビル」が分譲された当時、現場では高額な価格設定から、完売を疑問視する声も少なくなかったという。しかし、7戸すべてに買い手が付いたことで、状況は一変した。
ナンバーワン・リアルティの関係者は、「『ウォーカーヒル・ポドビル』をきっかけに、『この場所でも高級ヴィラ事業が成立する』という認識が生まれ、ほかのデベロッパーが周辺の土地を購入して事業に乗り出した」と説明した。
続けて、「その後、高級ヴィラが相次いで建設された」と明かした。「ウォーカーヒル・ポドビル」が、この地域の雰囲気を変える一つの転換点となったのだ。
「ウォーカーヒル・ポドビル」から100メートルほど離れた場所には、別の高級住宅「アルカディア・シグネチャー」がある。
2023年に完成した「アルカディア・シグネチャー」は、地下2階、地上4階建て。一般住戸6戸とペントハウス2戸で構成され、現在は40億ウォン台後半~50億ウォン(約5億円台)で売りに出されている。
「TWICE」のモモは、専有面積221.9平方メートルの1戸を42億7000万ウォン(約4億9000万円)で購入した。
また、女優ハン・ソヒも2024年8月、203平方メートル規模のデュプレックス型ペントハウスを52億4000万ウォン(約6億100万円)で購入したことが明らかになり、話題を集めた。
このほか、「ウォーカーヒル・ポドビル」から約300メートル離れた「ヴィラ・ド・グリウムW」では、俳優パク・ジョンミンが専有面積132.87平方メートルの1戸を18億ウォン台(約2億円台)で購入した。
女優パク・ヘミや歌手J.Y. Parkも、アチウル村に居住していると伝えられている。
■故パク・ワンソ、画家ハ・インドゥらが芸術に情熱を注いだ村…世代を問わず問い合わせ相次ぐ
数百戸の住宅が折り重なるように立ち並ぶアチウル村は、ソウル・クァンジン(広津)区のウォーカーヒルホテルからクリ方面へ向かうと、クリ市街地よりも先に現れる場所だ。
“芸能人の村”として知られるようになったのは最近のことだが、そのルーツをたどると、“芸術家の村”としてのアイデンティティーに行き着く。
アチウル村を代表する人物が、小説家の故パク・ワンソだ。パク・ワンソは亡くなる直前まで、同村にある黄色い外壁の戸建て住宅で暮らした。随筆集「黄色い家」も、この場所を背景にしている。
パク・ワンソの娘である作家ホ・ウォンスクは、「アチウルのリズム」を出版し、本の表紙に自宅前で咲いた花々の姿を収めた。
故ハ・インドゥ画伯も、アチウル村で「ホンブル(魂の火)」シリーズを制作し、人生の最後まで芸術に情熱を注いだと伝えられている。
芸術家だけでなく、有名人や資産家がアチウル村を選ぶ最大の理由として挙げられるのが、プライバシーの保護だ。
大規模な共同住宅が密集するソウルとは異なり、自然に恵まれ、低層の戸建て住宅を中心に構成されている。部外者の通行も比較的少なく、私生活の露出に敏感な人々から高い支持を得ている。
ソウルへのアクセスの良さも、アチウル村が選ばれる理由の一つだ。行政区域上はキョンギド(京畿道)クリ(九里)市に属しているが、ソウル・クァンジン(広津)区と隣接している。
ソウル・アサン病院やコングク(建国)大学病院などの大型医療施設をはじめ、ヒョンデ(現代)百貨店、ロッテ百貨店、大型スーパーなど、ソウル東部の商業施設も利用できる。
カンナム(江南)圏までは車で約15分、ウォーカーヒルホテルまでは車で約3分だ。
ある不動産関係者は、「アチウル村が有名になり、年齢を問わず入居を希望する人からの問い合わせが増えている」と明かした。
続けて、「ソウル生活圏にありながら自然を身近に感じられ、静かでプライバシーもしっかり守られる点が好まれている」と語った。
※日本円は、2026年8月22日時点の1ウォン=約0.115円で換算。
WOW!Korea提供






