【コラム】劇場公開からわずか2カ月でNetflixへ…韓国映画界に広がる新たな配信戦略

劇場公開からわずか2カ月でNetflixへ――。

映画『ヒューミント』や『ワイルド・シング』が劇場上映終了からわずか2カ月でNetflixでの配信を開始し、韓国映画業界では「ホールドバック(Holdback)」を巡る議論が再び活発化している。映画館の危機なのか、それとも新たな活路なのか。劇場とOTT(動画配信サービス)の関係は、いま大きな転換点を迎えている。

OTTの普及によって、映画館と家庭の境界はすでに曖昧になった。近年はNetflixをはじめとするOTT各社が、自社オリジナル作品だけでなく、テレビ局の番組や劇場公開作品の配信にも積極的に取り組み、コンテンツ流通のあり方そのものを変えつつある。

今年上半期のNetflixではドラマ作品が好調だった一方、オリジナル映画は期待されたほどの成果を残せなかった。ロマンス映画『パヴァーヌ』やコメディー映画『夫たち』は、同時期に公開されたシリーズ作品やバラエティー番組に比べて存在感が薄く、ランキングでも苦戦を強いられた。

その一方で、存在感を示したのは劇場公開作品だった。

『ヒューミント』は劇場では観客198万人にとどまり、損益分岐点には届かなかったものの、Netflixでの配信開始直後にグローバルTOP10(映画・非英語部門)で1位を獲得。韓国をはじめ、ルーマニア、フィリピン、ホンコン(香港)など14カ国で首位に立ち、“第2のヒット”を記録した。

また、日本映画『今夜、世界からこの恋が消えても』もNetflixでグローバルランキング1位を獲得。劇場公開時とは異なる形で世界中の視聴者へ届けられ、配信をきっかけに改めて大きな注目を集めた。

こうした成功例が増える一方で、映画館業界の危機感は強まっている。

「すぐNetflixで見られるなら、映画館へ足を運ぶ人は減るのではないか」

そんな懸念から韓国では、劇場公開後からOTT配信まで一定期間を設ける「ホールドバック制度」の導入を求める声が再び高まっている。

実際、共に民主党のイム・オギョン議員は昨年、劇場公開作品のOTT配信を最低6カ月延期する法案を代表発議した。映画産業を保護し、OTTによる知的財産権(IP)の過度な集中を防ぐことが狙いだ。


しかし、制作・配給側の見方は異なる。

ある映画配給会社の関係者は「OTTは決して失うことのできない流通チャネル」と指摘する。映画館だけでは制作費の回収が難しい作品も多く、Netflixなどを通じて世界へ届けることができれば、制作費の回収だけでなく、次回作への投資にもつながるという。

さらに業界内では、「ホールドバック制度を議論する前に、大作へのスクリーン独占を改善すべきではないか」との声も少なくない。観客減少の要因はOTTだけではなく、上映機会の偏りにもあるという指摘だ。

Netflix側も「収益モデルを拡大する柔軟なパートナーでありたい」との姿勢を示し、映画、シリーズ、バラエティーを問わず韓国コンテンツへの投資を継続する方針を明らかにしている。

その象徴ともいえるのが、今年下半期に配信予定のイ・チャンドン監督最新作『可能な愛』だ。同作は9月に劇場で先行公開された後、第4四半期にNetflixで配信される予定となっている。劇場先行公開は、2027年開催の第99回米アカデミー賞・国際長編映画賞への出品資格を得るための戦略でもあり、劇場とOTTを組み合わせた新たな公開モデルとして業界内でも注目を集めている。

劇場か、OTTか――。

これまで両者は対立する存在として語られることが多かった。しかし近年は、劇場で作品の価値を高め、その後OTTで世界へ届けるという“共存型”のモデルが広がり始めている。

8月には韓国文化体育観光部主導で「韓国映画の共生に向けたホールドバック自主協約」が予定されている。劇場とOTTは競合し続けるのか、それとも互いの強みを生かした新たな共存関係を築いていくのか。韓国映画業界が模索する新たなビジネスモデルの行方に、今後も注目が集まりそうだ。

WOW!Korea提供

2026.07.26