アイドルの世界観”再流行”に注意...「AM8IC」や「NEWBEAT」などの新人グループに注目

「AM8IC」


しばらく落ち着いていた「アイドルの世界観」の再流行が感知されている。確固としたコンセプトを持つチーム固有の世界観を打ち出して活動を開始する新人グループが続々と登場しており、さらに世界観を続けて来た既存グループの歩みにも再び照明が当てられている。

「アイドルの世界観」は、K-POPがグローバル市場で本格的に成長した2010年代後半から2020年序盤の間に登場し、いわゆる”第4世代アイドル”の間で大流行した。音楽とパフォーマンス、ミュージックビデオをはじめとした各種コンテンツのストーリーテリング基盤の世界観を着させることを、差別化及びファンの結束力強化の手助けになる戦略とされてきた。2020年にデビューした「aespa」が現実世界と仮想世界を行き交う大型マルチバース世界観を打ち出していたのが代表的だ。

効果はあったが、しばし流行は落ち着いた。世界観が増えたことに対する疲労感を感じるK-POPファンたちが多くなったせいだ。複雑に設計された世界観が、ファンの流入を遮る障壁であり、チームの音楽の色および活動の方向性を限定させるなど逆効果を生んだ事例も生まれた。

2022年8月にデビューした「NewJeans」が世界観なくイージーリスニング音楽で成功した事例が作られ、版図が完全に変わった。”コロナウイルス”の流れに乗り素早く”第5世代”へと転換されたK-POPアイドル界で”脱世界観”の動きが起き、フックのあるイージーリスニングポップへと、ダンスチャレンジブームを起こすことに力を注ぐことがメインになった。この中で”エモーショナルポップ(RIIZE)”、”ボーイフッドポップ(TWS)”など世界観の代わりに独自の音楽ジャンルを規定するのが新しい流行となった。

「NEWBEAT」


【再び隙間市場になった世界観...成功事例は出るか】

興味深くも最近になり、まるでファッションの流行が繰り返されるように世界観を持ったアイドルが再び現れ、新しい成功事例が出るのか注目を集めている。

去る10日に活動を開始したボーイズグループ「AM8IC(エムビック)」は、アルバム名と同名の「LUKOIE」という世界観を持ってデビューした。「AM8IC」の世界観は「クモの形の”夢の神”ルコイエが創造した偽りの夢の世界で結ばれた5人の少年が、真実の世界に向かって旅を始める」という物語を基盤にしている。「AM8IC」は世界観の物語をアルバムに反映し収録曲たちが一つの物語のように続くよう構成した。「AM8IC」は世界観の特性と合う”ダークファンタジー”をチームを代表する修飾語にした。

「AM8IC」を制作したTOVエンターテイメント のユン・ボムノ代表は去る11日、メディアedailyとの通話で「しばらく世界観を打ち出した新人グループを探すのが難しかったので、新しい世界観に対する渇きを感じていたK-POPファンたちが存在すると判断した」と話した。ユン代表は続けて「これから世界観を基盤にした様々な体験型のコンテンツを披露し、世界観の侵入障壁ではなく推したくなるようにする楽しいポイントになるよう作ることが目標だ。世界観を基盤にした小説のローンチも準備している」と明らかにした。

「AM8IC」より先にデビューしたボーイズグループ「NEWBEAT」は、それぞれのメンバーが目、耳、肺、心臓、筋肉、血管、脳など特定の身体機関が過発現する特性があるというコンセプトの世界観をアルバムに反映した。これに合わせ「NEWBEAT」はまるでユニコーンのようにそれぞれの担当身体機関に”ツノ”の小道具を合わせコンセプトフォトを撮影し、音楽番組のステージまで話題を集めた。

「NEWBEAT」メンバーたちはカムバックを控えメディアedailyと行ったインタビューで「”ツノ”は他の人と違っても間違ったものではない」というメッセージを代弁する象徴物とし、「デビュー活動以降『NEWBEAT』を”ツノ”を付けたアイドルと覚えている方たちが多い」と口をそろえた。

これ以外に韓国の説話をモチーフにしたデジタルファンタジー世界観を構築して活動をする新人バーチャルガールズグループ「サランファ」や、チームの世界観を連携したWeb小説「Dear.X」を披露した新人グループ「KiiiKiii」などが最近の世界観再流行の流れに乗っている。

「NMIXX」

【”勝負の一手”でなく楽しさの要素に変貌】

流行が落ち着いた中でも世界観を継続して続けてきて光を見ているグループもいる。2022年にデビューした「NMIXX」は、新曲「Blue Valentine」でデビュー後初めて音源チャート1位になり、ユートピアに向かって進む旅程を描く「ミクストピア」世界観でも注目を集めている。

2023年にデビューした「xikers」は最近発売した新譜でデビューから続けて来た「HOUSE OF TRICKY」の物語を完成させ好評を受けた。彼らは「座標を探して時間と空間を旅行する少年たち」の物語を音楽とパフォーマンスに反映させてきた。

「xikers」のリーダーミンジェはカムバックラウンドインタビューで、「世界観は『xikers』のコンテンツをより一層楽しめる装置」とし、「チームのアイデンティティを込めた世界観の1ページを終えるという点で意味が大きい」と強調した。

歌謡広報社メジャーセブンカンパニーのパク・ビョンチャン代表は「熾烈なアイドル競争構造の中で、ストーリーテリング基盤の世界観を持つファンを強固にする戦略は変わらず有効だ」とし、「しかし既存のように世界観をチームの成敗を左右する勝負の一手として使う事よりも、より軽い楽しさの要素として続けて行けばチームの運命に対する負担を減らせる」と見解を明らかにした。

WOW!Korea提供

2025.11.12