ミュージカルを中心に活躍する俳優イ・ゴンミョンと俳優キム・スンデが、6月20日(土)東京・草月ホールにて、「親友」をテーマにしたミュージカルコンサート、夢友コンサート 「親友物語〜その2〜 」を昼夜2回公演で開催した。
イ・ゴンミョンは、ミュージカル「三銃士」や「ジャック・ザ・リッパー」など多くの作品に出演し、韓国ミュージカル大賞男優新人賞や助演男優賞など数々の受賞歴を持つ。2AM チョグォン、SHINee Key、B1A4 シヌの主演で、現在韓国で公演中のミュージカル「チェス」ではフレディ役をつとめる実力派。
キム・スンデは、ミュージカル「ジキル&ハイド」や「モーツァルト」などで高い評価を受け、現在は「ユーリンタウン」のバビー役を好演中。13年前にゴンミョンもスンデと同じバビーを演じていて、今回の「親友物語〜その2〜」は、韓国での初演バビーと現在のバビーの時を超えた共演となった。
韓国からもファンが駆けつける会場。客席の明かりが消えると、昼公演ではミュージカル「ロミオとジュリエット」の「世界の王」からステージがスタート。客席に降りてハイタッチで会場を盛り上げ、息もピッタリの二人をファンは手拍子で熱烈に歓迎した。
「こんにちは、お会いできて光栄です」とあいさつすると、「ロミオとジュリエット」についてスンデは「ゴンミョン兄さんと初めて出会った作品。その時は仲良くなかったんですけど、今は大好きな兄さんです(笑)」と紹介し、同ミュージカルからそれぞれ1曲ずつナンバーを披露。ゴンミョンは「どうやって伝えよう」を、スンデは「僕は怖い」を伸びやかに熱唱し、圧巻の歌唱力でファンの心を奪った。
「親友物語」の公演では、二人がどのような関係かトークを通して楽しむことができるのも見どころのひとつ。「ロミオとジュリエット」でティボルトを演じたスンデと、ロミオの友人のベンヴォーリオを演じたゴンミョン。「そこで初めて出会って親友になりましたね」と親しさをアピールする先輩ゴンミョンに、「いやそこまで親しくない(笑)」とスンデがばっさり答えて笑いを誘う場面もみられ、二人の歯に衣着せぬやりとりに仲の良さが感じられた。
お互いの初印象について、スンデは「ゴンミョン兄さんは、僕が軍隊にいるときに休暇で偶然観に行ったミュージカルに出ていたんですよ。『RENT』という作品でロジャー役だったんですが、とてもかっこよくて、まるでスターのように眩しく輝いていた」と語った。ゴンミョンは「それで僕は今日こんな服を着てきました」と星型のビジューがついている衣装をアピール。
スンデの初印象についてゴンミョンは「『ロミオとジュリエット』の練習のときでした。その前までは顔も見たことがないような俳優でしたけど、あいさつしたときにかっこいいなと思って。笑ったときの目も本当に可愛いんですよ。あとスンデさんは格闘技の選手だったので、腹筋がすごかった。シックスパックだったんですよね。今もある?」と言うと、「秘密です」と可愛く笑うスンデ。ゴンミョンはさらに「(スンデは)なんでも持ってるんだなと思いました。当時はミュージカル俳優の主演でもいい車を持つことはできなかったんだけど、その中でもいい車に乗って来て、なんだコイツって、ちょっと憎らしい感じがしました(笑)」と懐かしく振り返った。
そんなお互いの印象をトロット(演歌)で伝えあう。ゴンミョンは「憎らしい人」、スンデは「シャバンシャバン」。親しみのあるテンポよいリズムにファンは手拍子を合わせ、ミュージカル俳優が繰り広げる演歌の世界を楽しんだ。
スンデは現在韓国でミュージカル「ユーリンタウン」を上演中。「僕も10数年前にやりましたね」とゴンミョンが言うと、「兄さんの後を僕がついて行くみたいで気分がよくないな(笑)」とわざと拗ねてみせるスンデ。「気分いい」と先輩ぶるゴンミョンが「一緒に歌おうじゃないですか」と提案し、同ミュージカルから「Run, Freedom, Run」を二人で歌うことに。表情豊かな歌のかけあいをみせる新旧バビー(役名)の共演に、会場も大盛り上がり。
お互いの出演作の中でやってみたい曲も披露された。ゴンミョンの歌う「モンテクリスト伯」の「地獄に堕ちろ」では迫力ある力強さが、スンデの「二都物語」の「I Can’t recall」ではスケールの大きな世界が広がり、実力派俳優二人の歌にファンは魅了されっぱなし。
カジュアルなシャツとジーンズに衣装チェンジすると、ライブだからこその失敗談がおもしろおかしく暴露された。「生演奏なら指揮者と目を合わせ乗り切ることができるけど、録音された音源だと難しい」というゴンミョンは、「RENT」公演中に途中で歌詞を忘れ、病気にかかっている役だったため胸を押さえて苦しむフリをしてごまかしたことや、白いズボンのときにチャックが全開で、「よりによって赤いパンツだった」と打ち明けた。それを聞いていたスンデも、「オールブラックの衣装で登場したときにお客さんがザワザワしてるんですよ。周りの俳優さんも踊りながら僕のズボンを触ろうとするから、なんだろうと思っていたんだけど」と思い出しながら、「舞台袖で汗を拭いていたティッシュがズボンの真ん中にくっついたままで…」とズボンを指差して苦笑い。「黒の衣装に白いティッシュ(笑)恥ずかしい」と大笑いするゴンミョン。数多くの舞台を経験してきた二人ならではの爆笑エピソードにファンが大ウケする中、ゴンミョンは「舞台の上のミスもライブならではの魅力」と明るく語った。
続いて、これだけは自分にしかできないという曲を披露。ゴンミョンは「スンデさんは、まだ『チェス』の舞台を見たことがないから歌えないはず」と、韓国で上演されたばかりのミュージカル「チェス」の中で自分の役ではないがアナトリ役が歌う「Anthem」を初披露。一方、スンデは「雰囲気や歌の特性がゴンミョン兄さんより、少し僕の方がいいかな」とミュージカル「ヘドウィグ」の「The origin of Love」を歌いあげた。
プライベートについても話は及んだ。スンデは理想のタイプについて、「一つ目はお酒の量を調節できること、二つ目はいい嘘も悪い嘘もつかないこと、三つ目は生活力があること」と3つの条件をあげ、「これがなかなか難しい」と悩ましい表情をみせる。「お互いに、いい女性が現れますように」とゴンミョンと固く握手をして健闘を祈りあう姿が笑いを誘った。
初めて挑戦する曲でファンを魅了した。ゴンミョンは女性の歌で「ジャック・ザ・リッパー」の「風とともに」をスタンドチェアに腰かけて女性らしく脚を組みながら、高いキーでも難なく歌いこなし、悪役を演じたことがないスンデは「ロックオペラ モーツァルト」から「悪の交響曲」を選ぶと、いつもと違う魅惑的な声に歌い終わるやいなや大きな歓声があがった。
日本のファンのために、日本語曲コブクロの「蕾」も用意され、「他の言語で歌うのは緊張するし、心配もたくさんある」としながらも、二人の見事なハーモニーが会場に響き渡った。深く心に響く厚みのある歌声に、ファンは温かい拍手を送った。
ゴンミョンが「次が最後の曲です」と言うと「え〜!」と惜しむ声が上がる。「足りなかったこともあったけど、来てくださってありがとうございました」とスンデは感謝を表し、ゴンミョンも「韓国でのコンサートより準備する時間が短いので、少し足りない部分があるかもしれませんが、僕たち二人はそのちょっと足りないところを埋めようとがんばって努力したコンサートでした」と公演にかける思いをファンに伝えた。
うれしいフォトタイムが設けられると、笑顔でファンのカメラに目線を送る二人。最後は、スンデが「ゴンミョンと一緒に歌いたかった」というミュージカル「エリザベート」の「闇が広がる」を熱唱。アンコールに応えて再び登場すると、ミュージカル「ギャンブラー」の「ゴールデンキー」でファンにもう一度応え、最後にがっしり握手をしあってお互いを讃えると、コンサートは幕を閉じた。
出会いの曲から初印象をこめたトロット、これだけは譲れないという曲や日本語曲まで、幅広いバリエーションですばらしい歌声を届けてくれたイ・ゴンミョンとキム・スンデ。二人の先輩後輩としてのいい関係が伝わってくる温かいコンサートとなり、出口で二人が見送る中、ファンは笑顔で会場を後にした。
「親友」という切り口で歌とトークを楽しめるコンサート。次回の「親友物語〜その3〜」は8月8日(土)俳優チョン・サンユンと、チョ・ヒョンギュンを迎えて開催される予定だ。
取材:Korepo(KOREAREPORT INC)
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