キム・ヒソン×ロウン×イ・スヒョク『明日』は死神たちが死にたい人々を救うあの世のオフィスヒューマンファンタジードラマだ。Netflixにて配信中で早くも注目を浴びている。
笑いを誘う各話のエピローグ
『明日』は韓国MBCで4月1日から放送開始されたドラマ。同名のウェブ漫画が原作でNetflixでも配信されている作品だ。本作はシットコム(シチュエーションコメディの略)を手掛けた作家パク・ランと新鋭のパク・ジャギョン、キム・ユジン作家が執筆を手がけた。演出は映画『再審』のキム・テユンとドラマ『カイロス~運命を変える1分~』のソン・チウクが担っている。
『明日』は死神たちが死にたい人々を救うというヒューマンファンタジードラマ。ファンタジーではあるが周辺にありそうな現実的なエピソードで視聴者の共感を醸し出している。放送が終了した第一話、第二話では、ある女性放送作家が学生時代に受けたイジメのエピソードが描かれた。
まずは、ピンク色のヘアに真っ赤なアイシャドウという独特のスタイルで登場するキム・ヒソンに驚く。キム・ヒソンは“あの世”の死神企業「走馬灯」危機管理チームのチーム長ク・リョン役に扮している。ク・リョン(キム・ヒソン)は同じチームのイム・リュング(ユン・ジオン)と共に、日々「死にたい人」を救うという任務を全うしている。
一方、この世では就活生のチェ・ジュヌン(ロウン)がホームレスの男性を助けようと誤って川に落ち昏睡状態に陥っていた。半人半霊の状態になってしまったジュヌンはク・リョンに導かれ「走馬灯」に案内される。「走馬灯」の会長オク・ファン(キム・ヘスク)は、死神のミスで昏睡状態にしてしまったことをジュヌンに謝罪し、半年間「走馬灯」に死神として就職することを提案する。ジュヌンはク・リョン率いる「危機管理チーム」に配属され、持ち前の明るさと熱血漢で任務を遂行していく。
「走馬灯」にはさまざまなチームがあるらしい。前出の危機管理チームを始め、映像チーム、引導管理チーム等だ。引導管理チームを率いるのはイ・スヒョク扮するパク・ジュンギルだ。イ・スヒョクの深い眼差しと重厚ボイスが「走馬灯」の最高エリート・パク・ジュンギルの魅力に拍車を掛けている。
「自ら死を選ぶことは最大の罪だ」というパク・ジュンギルに対し、「この世での行き場を失くしているにすぎない」と反論するク・リョン。死にたい人は最も生きていたい人だというク・リョンのセリフが心に残る。『明日』は死者を導くのではなく、死にたい人を生かす死神たちの話に重きを置いている点が非常に興味深い。
本作は心の痛みを持つ人々の事情にスポットを当て、彼らの明日を取り戻すストーリーになりそうだ。一見、重苦しいテーマに思えるがコミカルなシーンも垣間見られときに笑いを誘う。特に笑いを誘うのは各話のエピローグだ。エピローグが一話ごとの種明かしになっている点も本作の秀逸な演出の1つだといえよう。
韓国語で自殺を“자살”(チャサル)という。それを反対にすると“살자”(サルジャ)となる。“살자”(サルジャ)は「生きよう」という意味だ。力強い希望と温もりをプレゼントするであろう本作のこれからが楽しみでならない。
文=朋 道佳
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コラム提供:ロコレ