「コラム」康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.17「パク・シフの名言」

知的で洞察力が鋭いという実像を持った俳優……それがパク・シフだ。韓国の地上波テレビのドラマに久々に復帰したKBS『黄金色の私の人生』が大ヒットして、彼の名声はさらに高まった。

父の反対を押し切る

かつてパク・シフが俳優になりたいと家族に告げたとき、父親が猛反対した。
父親も若いときにモデルとして活躍していた。しかも、数多くのテレビCMに出るほどの売れっ子だった。
芸能界の事情をよく知っていただけに、父親は息子に「甘い世界ではない。あきらめろ」と諭した。
とはいえ、パク・シフもあきらめるわけにはいかなかった。彼はどうしても俳優になりたくて、父親の反対を押し切ってソウルに出た。
「絶対にあきらめない」

その強い意欲があったおかげで、パク・シフは今日の地位を得たのである。
私が編集長をしていた雑誌でパク・シフのインタビュー記事を載せたことが何度もあるが、その中で印象的だったのは『王女の男』に関する発言だ。
「『王女の男』はシノプシス(あらすじ)を見て、出演したいとすぐに思いました。この作品はかならず成功するだろうと確信しました。出演の話が進行してからシナリオを読んだとき、この作品を絶対に逃してはいけないと考えました」
「『王女の男』で演じたキム・スンユは、キャラクターの変化が大きかったからこそ、表現がやりやすい面もありました。与えられた状況に没頭するという点においても、表現すべき要素がたくさんあったので、やりがいを持って演じることができました」
『王女の男』が傑作になったのも、パク・シフの演技力が大いに貢献している。

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努力する俳優

パク・シフは、とても魅力的な声の響きを持っている。「発声をするときに特に気をつかっていることはありますか」と尋ねてみると、彼はこう答えた。
「たまに公園でジョギングをするのですが、そのときにいつも大きく発声練習をします。日常的に、発声練習は欠かさずに行なっています」
この言葉を聞いて「さすが」と思った。
パク・シフは4月20日に東京で『黄金色の私の人生』に関するイベントを行なった際、記者会見でこう語っている。
「俳優にとって視聴率40%を超える作品に出演できるというのは、本当に俳優人生の中で1回あるかないかくらいのことだと思うんです。今回のように視聴率40%を超えるドラマに出演できたということは、本当に夢のように思っています」

パク・シフなら、40%超えのドラマにまた主演する機会があるかもしれない。「俳優人生の中で1回あるかないか」というレベルを超える可能性を持った俳優だからだ。
忘れられない彼の言葉がある。
「私は、素質に恵まれた俳優ではありません。それだけに、もっと努力しなければならないと思っています。ファンの方々も、私のそんな努力する姿を見てくださっているのではないでしょうか」
まさに名言だ。
その言葉を忘れないかぎり、ファンはパク・シフを応援し続けるだろう。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

2018.04.28