康熙奉(カン・ヒボン)著「新版 知れば知るほど面白い 朝鮮王朝の歴史と人物」(実業之日本社発行/9月6日発売)
韓国時代劇は朝鮮王朝時代の作品がとても多く、この王朝に対する理解が欠かせない。その理解に役立つのが「新版 知れば知るほど面白い 朝鮮王朝の歴史と人物」(実業之日本社発行/9月6日発売)である。著者は康熙奉(カン・ヒボン)氏。新刊の発売に合わせて、康熙奉氏に韓国時代劇の面白さについて聞いた。
朝鮮王朝の手引書
――日本でも韓国時代劇は人気がありますね。
康熙奉「NHKを初めとして多くのテレビ局が盛んに放送しています。それだけ見る人が多くなってきて、韓国時代劇に関心を寄せる人もたくさんいます。ただし、あくまでも韓国の時代劇なので、韓国の歴史がわからないと部分的に理解できないところも多いでしょう。特に朝鮮王朝に対して相応の知識を持っていたほうが、韓国時代劇をもっと楽しめると思います」
――韓国時代劇の特徴はどういうことでしょうか。
康熙奉「日本の時代劇との決定的な違いを言えば、韓国時代劇はドロドロとした宮廷ドラマが多いということです。宮廷の中では、国王・王妃・側室・高官・女官といった様々な立場の人たちが絡み合いながら、権力闘争が繰り広げられていきました。そういった部分というのは、韓国の歴史に詳しくないと難しく感じるかもしれませんが、人間の権力に対する欲望や葛藤というのは世界共通の普遍的な要素を持っています」
――朝鮮王朝というのは、どんな王朝だったのですか。
康熙奉「3つの大きな特徴がありました。1つ目は国王を頂点とする中央集権国家だったということです。国王の権力が絶対だったので王位継承があれほどもめたのです。2つ目は国教が儒教だったことです。儒教は人間の序列を認める思想があり、結果的に厳しい身分制度が容認されました。3つ目は官僚同士の党争が激化したことです。そんな派閥闘争は韓国時代劇の格好のネタになりました」
――そうした朝鮮王朝を扱った今回の新刊は、どんな内容になっていますか。
康熙奉「朝鮮王朝時代の歴史的な背景をわかりやすく説明した構成になっています。実際、韓国時代劇を見ている人の中では、どこまでが史実でどこからがフィクションなのかということが気になる人も多いと思います。ドラマを面白くするために、韓国時代劇はフィクションの割合が高いのですが、根底ではしっかりと史実を押さえています。そういう意味で、史実とフィクションの違いが本書でよくわかります」
――本文以外にも歴史データが豊富ですね。
康熙奉「歴代王のデータが載っていますし、朝鮮王朝を理解するための図表が豊富です。韓国時代劇を見ていてちょっとわからない部分があれば、それを一目で確認できる構成になっています。韓国時代劇を見る際の手軽な手引書として新刊を活用してくだされば幸いです」
〔著者紹介〕
康 熙奉(カン・ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化や日韓関係を描いた著作が多い。主な著書は「悪女たちの朝鮮王朝」「韓流スターと兵役」「いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史」「韓国ドラマ&K-POPがもっと楽しくなる!かんたん韓国語読本」など。最新刊は9月6日発売の「新版 知れば知るほど面白い 朝鮮王朝の歴史と人物」
〔書籍情報〕
書名/「新版 知れば知るほど面白い 朝鮮王朝の歴史と人物」
著者/康熙奉(カン・ヒボン)
発行/実業之日本社
価格/1000円+税
発売/2021年9月6日
〔本書の内容〕
第1章 傑作時代劇が謎めいた歴史を面白く見せてくれる
第2章 王になるとこんな人間になってしまうのか
第3章 わかりやすく読み解く朝鮮王朝の暮らしと制度
第4章 凄い人物が壮大な歴史を動かしてきた!
◇朝鮮王朝なるほどQ&A
◇超・概説/朝鮮王朝の歴史
◇歴代王の一覧表
◇歴代王の系統図
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