さらに第4話に出てきた「ゾンビの子」は、残酷なストーリーとは異なり、込められた意味に胸を熱くした。 ムン・ガンテは「ママはとてもあたたかいね」という部分を読み、幼いころから兄ムン・サンテ(オ・チョンセ)のために母から後回しにされた記憶を思い出した。愛を受けたかったけどいつも兄さんのために十分に愛情を受けなかったムン・ガンテは「ゾンビの子」を読み、ダムが崩れるように悲しみをあらわにし嗚咽する姿に、見る人たちの涙腺を刺激した。
その一方で、童話を書いた張本人であるコ・ムニョンはムン・ガンテが童話を引用して「その子が求めていたのは“エサ”だったのだろうか、誰かの温もりだったのだろうか」と答えを求めると、「ゾンビなんかに感情があるか。腕、脚、全部切ってでもお腹さえ満たせてくればいい。温もりだなんて笑わせる」と激しく反応した。 コ・ムニョンもまた、両親から受けた傷を抱える人物だ。これを通じて、父親に首を絞められ、母親と関連するトラウマに悩まされながらも自分の傷とまっすぐに向き合わないまま生きてきたということを感じさせた。
第7話に登場した「春の犬」はムン・ガンテとコ・ムニョンのターニングポイントを引き出した。 ずっと縛られてどこかへ行く考えすらできなかった「春の犬」がついに首輪を切って自由を迎えたのと共に、コ・ムニョンは長い髪を切ることで自分を縛り付けた母親の記憶から一歩脱することができた。
どんな余裕もなく、脱することも夢見ることができなかったムン・ガンテは、病院を訪れた患者の夫がコ・ムニョンを叩くのを目撃して彼を殴った。いつも平常心を失わないよう努力していたが、安全ピンが抜けたムン・ガンテの表情には解放感が伺え、視聴者の胸をいっぱいにさせた。
このように劇中に出てくる童話はムン・ガンテとコ・ムニョン、彼らが目を背けてきた傷、そしてそれにまっすぐ直面して治癒していく過程を盛り込んでいる。心を穏やかに染める童話のストーリーは「サイコだけど大丈夫」だけがもつ雰囲気を決める要素として、ファンにもう一つの楽しみになっている。次にどんな童話が主人公たちの状況とあいまっていくのか期待感を呼んでいる。
一方、tvN土日ドラマ「サイコだけど大丈夫」は毎週土・日曜日の夜9時に放送中だ。